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患者由来iPS細胞で筋強直性ジストロフィーの原因となる遺伝子変化を解析-CiRA

読了時間:約 1分55秒
2017年02月16日 AM11:15

CTGリピートの伸長が、筋強直性ジストロフィーの病因

京都大学iPS細胞研究所()は2月13日、患者由来のiPS細胞を用いて、筋強直性ジストロフィーの病因である遺伝子変化を詳細に解析したと発表した。この研究は、同大学の植木絢子元大学院生(現・京都大学医学部附属病院糖尿病・内分泌・栄養内科医員)、同大学CiRA臨床応用研究部門の櫻井英俊准教授らの研究グループが、大阪大学医学部神経内科学講座の中森雅之講師らの研究グループとともに行ったもの。研究成果は、英科学誌「Scientific Reports」に同日付けで公開されている。


画像はリリースより

筋強直性ジストロフィー1型(DM1)は、常染色体優性遺伝形式をとる比較的患者数の多い筋ジストロフィーのタイプ。DMPK(DM protein kinase)遺伝子の非翻訳領域にあるCTG繰り返し配列()が、健常者では50リピート程度までであるのに対し、数百~数千リピートにまで伸長することが原因で発症する。DMPK遺伝子は全身で発現するため、筋ジストロフィーの症状だけではなく、白内障、不整脈、神経障害、糖尿病といった全身での症状が現れる。伸長したCTGリピートはさまざまな遺伝子のスプライシング異常を引き起こし症状が発現するが、CTGリピートがどのように伸長するかはいまだ解明されていない。

これまでに、DM1患者の血液や生検サンプルなどを用いた研究において、年齢を経るごとにCTGリピートが伸長すること、組織ごとに異なったCTGリピート数を呈することが明らかとなっているが、生検組織を使った研究ではCTGリピートが伸長する仕組みを解明することは困難だった。そこで同研究では、DM1患者からiPS細胞を作成し、CTGリピートの伸長という病的な現象を解析することを目指したという。

CTGリピート付近のクロマチン構造が、健常者に比べて変化

その結果、DM1患者から作製したiPS細胞を用いて、病因であるCTGリピートの伸長という現象を再現することに成功。DM1患者由来iPS細胞では、未分化細胞の継代培養の際にCTGリピート伸長が起こることが明らかとなった。一方、iPS細胞から、神経細胞、心筋細胞、骨格筋細胞に分化させたときには、多くの細胞で未分化細胞と比較してCTGリピート数の有意な増加は認められなかった。さらに、DM1患者由来iPS細胞を心筋細胞に分化誘導した際、健常者由来の心筋細胞と比較して、CTGリピート付近のクロマチン構造が変化していることを発見したという。

同研究により、DM1患者由来iPS細胞は、CTGリピートの伸長というDM1の病因を解析するうえで非常に適したツールであることが示された。今回報告されたクロマチン構造の変化はこれまでに報告はなく、現段階ではこの変化がCTGリピート伸長の原因であるのか結果であるのかは不明だという。研究グループは今後、CTGリピートが伸長するメカニズムに迫るとしている。また、こうした知見の積み重ねにより、CTGリピートの伸長を抑える治療法や、CTGリピートを短くするような手法の開発につながることが期待される。

 

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