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ヒトES/iPS細胞の大量培養に適した「布」を足場とする細胞培養基材の開発に成功-京大

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2017年02月15日 AM11:00

十分な培養数を獲得し、品質にも影響しない培養法を研究

京都大学は2月9日、ヒトES/iPS細胞の大量培養を可能にする「布」を足場とした細胞培養基材の開発に世界で初めて成功したと発表した。この研究は、物質-細胞統合システム拠点()の陳勇特定拠点教授、亀井謙一郎同特定准教授、劉莉同特定拠点助教らの研究グループが、グンゼ株式会社と共同で行ったもの。研究成果は蘭科学誌「Biomaterials」に掲載されている。


画像はリリースより

ヒトES/iPS細胞は、再生医療や創薬などへの応用や実用化が期待されている。その一方で、従来のような培養皿やフラスコを用いた2次元細胞培養では、空間をうまく活用できず、実用化する際に十分な細胞数を得ることが非常に困難だった。

また、大量細胞培養法として近年着目されている、液体に細胞を浮遊させて行う培養法では、不規則な細胞凝集や撹拌による細胞ストレスがヒトES/iPS細胞の品質に大きく影響を及ぼしてしまっていた。

従来の大量培養法とは全く違う、ナノ加工された「布」を用いる方法

そこで、研究グループは、フィルターなどの分野で実用化されているナノ加工技術を基にした「」に着目。このナノファイバーを細胞の人工的な足場として用いることで、ヒトES/iPS細胞の未分化状態を維持したまま増殖を促すことができる。しかし、ナノファイバーは材料としてはもろく、大量培養への応用には適していなかった。

今回の研究では、物理的な強度があるマイクロファイバーとナノファイバーを組み合わせた、丈夫な新しい基材「ファイバー・オン・ファイバー」の開発に成功。さらに、この基材をガス透過性のある細胞培養バッグに封入し、バッグ内の空間をうまく用いることによって、細胞にストレスをかけずにヒトES/iPS細胞を大量培養できる方法の開発にも成功し、これらを用いて、非常に効率のよい細胞増殖効率を得ることができたという。

今回の研究成果は、今後、組織工学や再生医療の発展に貢献することが期待される。また、ヒトES/iPS細胞だけでなく、さまざまな接着系の細胞を大量培養するための基材としても利用されることが期待できる。この基材開発によって、研究グループは組織工学・再生医療をより身近なものにするために貢献していきたいと述べている。

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