2型糖尿病患者の2人に1人が心血管疾患で死亡
ドイツのベーリンガーインゲルハイムと米国のイーライリリー・アンド・カンパニーは1月26日、欧州委員会が、食事と運動による糖尿病治療の補助として、血糖コントロールが不十分な成人2型糖尿病患者に対する現在の「ジャディアンス(R)」(一般名:エンパグリフロジン)の効能効果に変更を加えるため、ジャディアンスの添付文書を更新することを承認したと発表した。ジャディアンスは、現在のところ、心血管アウトカムに特化した臨床試験で心血管死のリスク減少を示した唯一の経口糖尿病治療薬。
糖尿病患者は全世界で4億1500万人以上、そのうち1億9300万人は未診断と推定され、2040年までには6億4200万人に増加すると予測されている。なかでも2型糖尿病は最も頻度の高い病型であり、高所得国では糖尿病症例の最大91%を占めている。
糖尿病は、高血糖、高血圧、および肥満などを伴うため、心血管疾患は糖尿病の主要な合併症であるとともに、糖尿病と関連する主要な死亡原因だ。糖尿病患者は、糖尿病に罹患していない人と比較して、心血管疾患を発生するリスクが2~4倍といわれている。2015年には、糖尿病によって全世界で500万人が死亡。2型糖尿病患者の死亡のうち、約50%は心血管疾患が原因だったという。
プラセボと比べ心血管死のリスクを38%減少
更新されたEUの添付文書には今後、心血管疾患を有する2型糖尿病患者に対してジャディアンスを標準治療に上乗せ投与したところ、プラセボと比較して心血管死のリスクを38%減少させたというEMPA-REG OUTCOME(R)試験の結果が記載される。
同試験では、成人2型糖尿病および心血管疾患に対する標準治療にジャディアンスを上乗せ投与した結果、プラセボと比較して、主要評価項目である複合エンドポイント(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)のリスクを14%有意に減少。非致死的心筋梗塞または非致死的脳卒中のリスクに関して統計学的に有意な差は認められなかったという。
なお、日本におけるジャディアンス錠の効能・効果は2型糖尿病であり、心血管イベントのリスク減少に関連する効能・効果の適応は取得しておらず、今後の承認取得については未定だとしている。
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・日本イーライリリー株式会社 プレスリリース