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東大と共同研究で特定のがん解析を目的としたターゲット遺伝子パネル開発へ-シスメックス

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2017年02月13日 AM10:45

希少性疾患に関わる遺伝子変異の解析も

シスメックス株式会社は2月9日、東京大学と、ゲノム医療の臨床実用化を目指し、肺がん、肉腫などの特定のがんの解析を目的としたターゲット遺伝子パネルの開発および希少性疾患に関わる遺伝子変異の解析に関する共同研究契約を締結したと発表した。また、同大学が推進する「」の一環として開設される、シーケンス室の運営を、同社の子会社である株式会社理研ジェネシスが担当し、国際基準に準拠した品質保証の下、ゲノム解析を行うという。

ゲノム医療は、個々人のゲノム情報を調べ、その結果をもとに、より効率的・効果的に病気の診断と治療、予防などを行うもの。ゲノム医療の実用化により質の高い効果的な医療が実現できることから、世界的に取り組みが推進されている。日本においても、内閣官房健康・医療戦略推進会議の下に設置された「ゲノム医療実現推進協議会」により、各省が連携して、ゲノム医療の実用化に向けた取り組みが行われている。

ターゲット遺伝子パネルとは、診療上重要な複数の遺伝子の変異、増幅や融合を同時に解析するために設計された遺伝子セットのこと。一度の測定で複数の遺伝子の変異や融合・増幅を同時に解析できるので、抗がん剤の選択など患者の治療方針を決める際に参考となる情報を得られることが期待される。

パネルを用いたクリニカルシーケンス検査を目指し、臨床における性能検証を実施予定

東京大学では、がんおよび難病(希少性疾患含む)のゲノム解析に基づいた診断の確定および最適な診療の選択に関するゲノム医療研究プロジェクトが発足された。同研究プロジェクトは、日本医療研究開発機構(AMED)が推進する「臨床ゲノム情報統合データベース整備事業」の一環として行われる。

このひとつとして、シスメックスと同大学は共同研究契約を締結。なお、特定のがんの解析を目的としたターゲット遺伝子パネルについては、肺がん、肉腫用のパネルを共同開発予定であり、開発したパネルを用いたクリニカルシーケンス検査を目指し、臨床における性能検証を実施予定。

また、同大学分子ライフイノベーション棟内に設置されるシーケンス室の運営を、シスメックスの子会社であり国内で初めてCLIAラボとしての登録実績を持つ理研ジェネシスが担当。シスメックスは、遺伝子解析検査のさらなる質の向上や効率化に向けた技術開発を進めるとともに、患者一人ひとりに最適な医療に必要な価値の高い検査の実現に向け、研究開発・事業展開に取り組んでいくとしている。

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