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ペプチドやタンパク質など中分子・高分子を安定に貯蔵可能なナノカプセル開発-産総研

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2017年02月09日 AM11:45

さまざまな分子量のタンパク質を安定化でき、量産可能なナノカプセル

産業技術総合研究所は2月7日、ペプチドやタンパク質といった中分子や高分子を封入できる十数種類のナノカプセル(内径5~40nm)を開発したと発表した。この研究は、産総研機能化学研究部界面材料グループの亀田直弘主任研究員、増田光俊研究グループ長によるもの。同技術の詳細は、2月10日につくば国際会議場で開催される産総研材料・化学シンポジウム「21世紀の化学反応とプロセス-快適な生活を支える機能性材料の新展開-」で発表される予定。


画像はリリースより

近年、ペプチドやタンパク質といった中分子(分子量:数千~数万)から高分子(分子量:数万~数十万)が注目され、それらをカプセルに封入するなどして安定に保護したり、貯蔵・送達したりする技術が求められている。しかし、現在実用化されているナノカプセルであるリポソームは、低分子には優れた貯蔵・送達機能を示すが、中分子から高分子に対しては、その相当量がナノカプセルの外表面へ吸着してしまうため、効率的な封入は困難だった。

産総研はこれまでに、分子量3万の緑色蛍光タンパク質の凝集を抑制し、安定化できるナノカプセル(内径10nm)を開発。しかし、このナノカプセルは分子量1万や10万のタンパク質に対しては安定化機能を示さなかった。また、合成には高価な原料を必要とし、製造工程も多く煩雑で、量産化は困難だった。

産業用酵素やバイオ医薬品の包装剤への応用に期待

そこで産総研は今回、安価な天然由来物質であるアミノ酸、糖、脂肪酸をカプセルの原料として選定。合成条件を最適化した結果、数工程から成る一度の合成で、数十グラムのナノカプセルを調製できるようになった。

開発したナノカプセルは、室温では溶液中、乾燥状態のどちらでも長期間安定。化合物の大きさに適した内径サイズのナノカプセルに封入すると、その化合物が孤立して凝集や会合が抑制され、化合物の構造や機能を安定化できるという。

また、今回開発したナノカプセルは、アミノ酸、糖、脂肪酸だけから容易に合成でき、従来のナノカプセルに比べて格段に少ない工程で量産が可能。水溶液のpHを変えて化合物の封入や放出を制御できるという。分子量の大きい化合物に対して安定化機能を持つ包装剤として、機能性化粧品、産業用酵素、バイオ医薬品などへの応用が期待できる。

今後は、分子量のより大きいタンパク質を用いて安定化効果の検証を進めるとともに、ナノカプセルの内径サイズや荷電状態のより精密な制御をめざすという。また、企業と連携して、産業用酵素や抗体医薬品のカプセル化・安定化の検証も進める予定だとしている。

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