10種類以上の薬剤から最適な組み合わせを選択
九州大学は2月7日、C型肝炎治療薬の効果的な組み合わせを定める方法を開発することに成功したと発表した。この研究は、同大学大学院理学研究院の岩見真吾准教授、国立感染症研究所の渡士幸一主任研究官が、金沢大学医薬保健学域の小泉吉輝氏、名古屋市立大学大学院医学研究科の田中靖人教授、国立感染症研究所の脇田隆字副所長らと共同で行ったもの。同研究成果は、米国科学アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS)」に掲載されている。
画像はリリースより
C型肝炎の治療法としては、かつてはペグインターフェロンとリバビリンの併用療法という限られた治療法しか選択肢がなかったが、現在では治療法の開発が進み、10種類を超える薬剤が利用可能となってきている。しかし、治療が革新的に進歩した現在では、複数の薬剤を組み合わせる多くの治療選択肢の中から“最も良い組み合わせ”を見つけなくてはならないことが、新しい問題として浮かび上がっている。
3剤併用治療で、薬剤耐性ウイルス出現リスクを下げられる可能性
そこで研究グループは、さまざまな薬剤を用いたC型肝炎ウイルスの感染培養実験を実施。得られた実験データをもとに数理モデルと呼ばれる数学的な方程式で解析し、コンピュータシミュレーションを援用することで、網羅的に薬剤の組み合わせの特徴を解析した。さらに、現在治療に用いられている複数の薬剤の組み合わせによるウイルス抑制効果の強さを判定する手法を開発したという。
これにより、今後の治療選択肢として有望な3剤を組み合わせた場合に、現在日本で主流である2剤併用療法と比較して大幅に薬剤耐性ウイルスの出現リスクを下げられることが示唆された。今後、それぞれの薬剤の利点・欠点を補完した最適な組み合わせの治療法開発により、C型肝炎治療が一層加速することが期待されると研究グループは述べている。
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