厚生労働省の森和彦大臣官房審議官(医薬担当)は3日、省内で開かれた「医薬分業指導者協議会」のあいさつで、C型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品が流通した問題について言及。この事案が医薬品の流通に関わる人たちに対する「大きな信頼の失墜につながった」とし、関係者の協力のもと、適切な流通活動や再発防止に向けた取り組みを進め、「失った信頼の回復に努める」よう求めた。
森氏は、ハーボニーの偽造品を「薬剤師が調剤し、患者の手に渡ってしまったことは深刻な問題」と指摘。これまで日本では、偽造医薬品は流通しないと「固く信じられていた」ものの、「それが完全に裏切られた。これは大きな信頼の失墜だ」と述べた。
その上で、「大変重大な問題だという認識を関係者が持つことが大事」とすると共に、「行政としても深刻に受け止めている」と強調した。厚労省としては、「奈良県や奈良市、関係自治体の協力を得て、極めて迅速に実態の解明を進めている」としたが、「また同じようなことを考える人が出てくるかもしれない」と指摘。「安心・安全な医薬品を届けるのが医薬分業の大前提」とし、そうした事態を回避するため、「薬剤師全体で立ち向かうことが大切」とした。
一方、同協議会の名称のあり方についても言及。医薬分業率が70%に達したことで、「(分業の)量の問題は関心事ではなくなってきており、その先にある、薬局・薬剤師がどういう仕事をしていくのかということの方が大事」との認識を示した。その上で、協議会の名称に「医薬分業」という文言を「いつまで付けているのか。薬剤師業務が変革期にある中で、名称のあり方について相談させていただきたい」とした。