九州・沖縄母子保健研究のベースライン調査に参加した妊婦1,745人が対象
愛媛大学は2月2日、妊娠中のマンガン摂取が妊娠中うつ症状と予防的な関連があることを示す研究成果を発表した。この研究は同大学、国立保健医療科学院、東京大学、琉球大学の共同研究グループによるもの。研究成果は、学術誌「Journal of Affective Disorders」電子版に公表された。
画像はリリースより
これまでにもいくつかの疫学研究において、亜鉛、マグネシウム、鉄摂取とうつ症状との関連が調べられている。しかし、予防的な関連を示す研究や関連がないと報告する研究もあり、その結果は一致していない。また、銅とマンガン摂取については、過去にそれぞれひとつの研究で報告されており、うつ症状と予防的な関連が認められていた。共同研究グループは今回、これらのミネラル摂取と妊娠中うつ症状との関連を調べた。
研究では、九州・沖縄母子保健研究のベースライン調査に参加した1,745人の妊婦を対象とした。Center for Epidemiologic Studies Depression Scale(CES-D)の16点以上をうつ症状有りと定義。年齢、妊娠週、居住地域、子数、家族構成、うつ既往、うつ家族歴、喫煙、受動喫煙、職業、家計の年収、教育歴、BMIと飽和脂肪酸、魚介類由来n-3系不飽和脂肪酸、カルシウム、ビタミンDおよびイソフラボン摂取を交絡因子として補正したという。
交絡因子の補正で、亜鉛・マグネシウム・鉄・銅摂取との関連は有意ではなく
その結果、妊娠中うつ症状の有症率は19.3%で、交絡因子を補正しない解析では、亜鉛、マグネシウム、鉄、銅、マンガン摂取が多いほど、妊娠中うつ症状の有症率が有意に低下した。しかしながら、交絡因子を補正すると、亜鉛、マグネシウム、鉄、銅摂取と妊娠中うつ症状との関連は有意ではなくなり、マンガン摂取のみ、統計学的に有意に、妊娠中うつ症状と予防的な関連を認めたとしている。
今後、さらなる研究データの蓄積が必要となるが、マンガンを多く含む食品をたくさん摂取することにより、妊娠中のうつ症状を予防できる可能性を示す非常に関心の高い研究成果であると、共同研究グループは述べている。
▼関連リンク
・愛媛大学 プレスリリース