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【LEKコンサル】国内製薬は買収で商機を-「買わないリスク」時代に

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2017年02月01日 AM10:00


■拠点獲得から製品・技術へ‐LEKコンサル・藤井氏

2017年の製薬業界は、日系製薬企業による海外企業の買収が増加する1年になる可能性も出てきた。コンサルティング会社「」日本代表の藤井礼二氏は、昨年から続くアステラス製薬や大日本住友製薬、武田薬品による買収の動きに関して、「規模追求型のM&Aではなく、重点領域の製品・技術を獲得するという明確な狙いが透けて見える」との見方を示し、製薬企業が“選択と集中による成長路線”に舵を切っている背景から、「今後も買収が活発化していくのではないか」と予測した。一方、日系製薬企業が保有する潤沢な手元資金を挙げ、買収に活用すべきとした。

日本製薬企業の海外進出がテーマになる中、藤井氏は「海外の拠点整備が済んでいる企業」と「未整備の企業」の二つに大別できるとしている。買収を仕掛けた武田やアステラス、大日本住友に共通しているのが、確立した米国拠点を既に持っている企業ということだ。

武田は、2008年に米ミレニアム・ファーマシューティカルズで癌強化、11年のナイコメッドで新興国とGE薬を獲得するなどインフラを獲得し、その後は小規模ながらもワクチン領域に強いベンチャーを買収。その一方で、英アストラゼネカに呼吸器事業、富士フイルムに和光純薬の診断薬事業を売却。癌・消化器系・中枢神経系・ワクチンを重点事業とし、アリアド・ファーマシューティカルズを約6260億円で買収した。

大手では遅れて癌に参入したアステラスも米アジェンシス、米OSIファーマシューティカルズの買収で、癌の創薬基盤や開発パイプラインを強化。日本市場ではアムジェンとの合弁会社を設立し、最大1000億円で独ガニメド・ファーマシューティカルズの買収に踏み切った。

両社共に癌の開発パイプライン拡充が目的。藤井氏は「武田とアステラスは、買収で癌の海外開発・販売拠点を獲得し、“2010年問題”に代表される大型品の特許切れを乗り越えながら、癌のフランチャイズを構築するプロセスを経験しており、他の日系企業に比べても買収先企業との統合をマネジメントしていくことに一日の長がある」と述べた。

また、大日本住友は、09年に米セプラコール(現:サノビオン)の買収で米国拠点を構築し、12年に癌に強い米ボストン・バイオメディカルの買収で癌事業を立ち上げた。現在は主力の抗精神病薬「ラツーダ」の特許切れを控え、中枢神経系や癌での開発パイプラインの拡充を目的に、昨年10月に約643億円でパーキンソン病治療薬を持つカナダのシナプサス、昨年末には最大919億円で血液癌に強い米トレロ・ファーマシューティカルズを買収した。「武田やアステラスと同様、買収目的が明確」と評価した。

今年は日系製薬企業の買収案件が目立つ年になると予想。中でも売上高2000億~5000億円の準大手クラスにおいても、優れた財務安全性を持ち、数千億円規模の手元資金を保有する。「他業種や海外の製薬企業に比べても仕掛ける資金力がある。欧米拠点が未整備な企業はまずインフラを買いに、インフラを持つ企業は製品や技術を取りにいくだろう」と話す。

日系の中堅製薬企業において好例となるのが、眼科領域のスペシャリティファーマである参天製薬だ。14年にメルクから全世界の眼科事業を買収する一方、非重点事業のリウマチ事業はあゆみ製薬に譲渡し、眼科領域への経営資源集中を図った。米国では、医薬品と医療機器を合わせたトータルソリューションを眼科専門医に提供していく戦略を描いており、「日本の中堅メーカーが世界に出ていく上で、その戦略は理にかなっている」と評価する。

一方、患者数が少ない稀少疾患にも注目。米セルジーンは買収に積極的で、昨年にはアイルランドのシャイアーが米バイオ企業「バクスアルタ」を約3兆円、さらに今年1月には米ジョンソン・エンド・ジョンソンがスイスのアクテリオン・ファーマシューティカルズを約3兆4000億円で買収する大型案件も相次いで発表されている。ある調査会社によると、世界の買収案件のうち約1割が稀少疾患を対象としたもので、中枢神経系治療薬獲得を目的とした買収の12%に匹敵する。藤井氏は「稀少疾患は価格が安定していることや、後発品の参入も少なく、買収の評価価値が上がっている」と述べた。

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