厚生労働省は25日付の事務連絡で、薬局などが保険調剤の一部負担金の支払い額に応じて患者にポイントを付与し、サービスの還元を行っているケースにおいて、今後、指導の対象となる基準を明示し、地方厚生局に発出した。具体的な事例として、「一部負担金の1%を超えてポイントを付与」などを挙げた。事務連絡に基づく指導は5月1日から行われる。
厚労省は、指導の対象になる薬局の基準として、▽ポイントを用いて一部負担金を減額することを可能としている▽一部負担金の1%を超えてポイントを付与している▽一部負担金に対するポイントの付与について、薬局の外の看板、テレビコマーシャルなどで大々的に宣伝、広告を行っている――を示した。
いずれかの基準に薬局が該当していれば、口頭での指導の対象になるが、それでも改善が認められない薬局については、必要に応じて個別指導が行われることになる。
調剤ポイントの問題をめぐっては、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」等が一部改正され、2012年10月から調剤ポイントを付与することが原則禁止となった。
しかし、クレジットカードや電子マネーで支払った場合のポイントは容認されていることから、調剤薬局を併設している一部のドラッグストアなどでは、依然としてサービスを継続している。
そのため、25日付の事務連絡でも、「保険調剤において、ポイントのような付加価値を付与することは、医療保険上、ふさわしくない」ことや、患者による薬局の選択が「ポイントの提供等によるべきではない」ことを明示。
地方厚生局に対して、調剤ポイントサービスを行っている薬局に「この考えを伝え、理解が深まるよう努める」ことを求めている。
日本薬剤師会の山本信夫会長は、26日の定例会見で、厚労省が「一部負担金の1%超」などの具体的な基準を示し、「踏み込んでくれたことは一定程度評価する」とした。
ただ、調剤ポイントサービスが「明らかに直接的な値引き」に該当するにもかかわらず、サービスの全面禁止を求めるような内容にはなっていないことから、「会長としては納得していない」と語った。