全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がんで、標準治療薬に対する非劣性を検証
エーザイ株式会社は1月25日、同社創製の抗がん剤「レンビマ(R)」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)について、全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がんにおけるソラフェニブを対照とした臨床第3相試験(304試験)において、主要評価項目を達成したと発表した。
肝がんはがん関連死亡原因の第2位であり、世界で年間約70万人以上が肝がんのために亡くなっている。肝細胞がんは、原発性肝がん全体の約85~90%を占めている。早期段階の肝細胞がんの治療法には外科手術、ラジオ波焼灼法、エタノール注入療法、化学塞栓療法など、多くの治療選択肢があるが、切除不能な肝細胞がんの場合は、治療薬が限られており、予後が極めて悪くアンメット・メディカル・ニーズが高い疾患とされている。
304試験は、全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がん患者を対象に、レンバチニブについて、標準治療薬であるソラフェニブとの有効性および安全性を比較する多施設共同、非盲検、無作為化グローバル臨床第3相試験。同試験には、954人の患者が各投与群に1:1の割合で無作為に割り付けられ、レンバチニブ投与群(478人)では、体重によって1日1回12mgまたは8mgが投与され、ソラフェニブ投与群(476人)では1回400mgを1日2回投与された。投与は病勢進行あるいは忍容できない有害事象の発現まで継続された。
ソラフェニブ投与群に比べ、OSにおける非劣性を証明
同試験では、主要評価項目を全生存期間(OS)とし、非劣性の検証を目的に実施。また、副次評価項目として、無増悪生存期間(PFS)、無増悪期間(TTP)、奏効率(ORR)などを評価した。
その結果、レンバチニブ投与群は、ソラフェニブ投与群に比べて、OSにおける非劣性が統計学的に証明され、PFS、TTP、ORRにおいて、統計学的に有意かつ臨床的意義のある改善を示した。同試験のレンバチニブ投与群で確認された上位5つの有害事象は、高血圧、下痢、食欲減退、体重減少、疲労で、これまでにレンバチニブの投与で認められた安全性プロファイルと同様だった。なお、その他の副次評価項目(QOL、血漿中薬物動態)や安全性の解析は継続中。
同社は、この試験結果に基づき、日本、米国、欧州、中国を含むアジアの各当局と申請に向けた協議を行う予定。また、試験結果の詳細について、今後の学会などで発表する予定としている。
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・エーザイ株式会社 ニュースリリース