iPS細胞技術の発展には品質の保証されたiPS細胞を提供できる体制が不可欠
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は1月23日、タカラバイオ株式会社とiPS細胞技術の臨床応用に向けた共同研究を開始したと発表した。
iPS細胞技術は、創薬研究、細胞治療、薬物安全性評価などに応用できる可能性があり、このiPS細胞技術のさらなる発展のためには、品質の保証されたiPS細胞を提供できる体制が不可欠である。そこでCiRAでは、2013年度から再生医療用iPS細胞ストックプロジェクトを推進している。
このプロジェクトは、あらかじめ品質を保証したiPS細胞を製造し、研究・医療機関に提供することを目的としている。2017年度末までに、日本人の3~5割程度をカバーできる再生医療用iPS細胞ストックの備蓄を目指している。
アカデミアにおけるGMP体制の整備と新たな出荷試験項目の規格値の策定へ
CiRAでは、より品質の高いiPS細胞を継続的に製造することを目的として、細胞製造において実績のあるタカラバイオと協力し、CiRA附属細胞調製施設において、アカデミアにおけるGMP体制の整備ならびに新たな出荷試験項目の規格値などの策定を目指すとしている。なお、GMPとは、恒常的な商用生産に必要な品質を保つための製造管理・品質管理基準のこと。
タカラバイオでは、これまで蓄積してきた再生医療に用いる幹細胞や遺伝子導入細胞などの各種細胞の製造、品質管理・保証体制についての技術・ノウハウを活用し、iPS細胞技術の臨床応用、再生・細胞医療の社会実装化に貢献していくとしている。一方、CiRAでは、この提携を通して、iPS細胞を安定的に提供できる体制を整え、各研究所および医療機関での研究の進展に貢献していくと述べている。
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