抗HER3抗体にトポイソメラーゼⅠ阻害剤(DXd)を結合させた薬剤
第一三共株式会社は1月19日、HER3に対する抗体薬物複合体(ADC)であるU3-1402について、HER3陽性の乳がん患者を対象とした第1/2相臨床試験を国内で開始したと発表した。
このU3-1402は、同社ではDS-8201に続いて2番目に臨床開発段階に入った抗体薬物複合体で、独自のADC技術を使って、リンカーを介して抗HER3抗体にトポイソメラーゼⅠ阻害剤(DXd)を結合させた薬剤。同剤は、ひとつの抗体につき約8個のDXdが結合するという特徴を持ち、前臨床試験においてHER3高発現腫瘍に対する退縮効果を確認しているとしている。
予後の悪いHER3陽性患者の新たな治療選択肢へ
第1/2相臨床試験は、HER3陽性の難治性の転移性乳がんの患者を対象とした非盲検試験。第1相臨床試験パート1は用量漸増試験で、同剤の安全性、忍容性および最大耐用量を評価する。第1相臨床試験パート2は、同剤の安全性および有効性を評価し、第2相臨床試験の推奨用量を決定。第2相臨床試験は、推奨用量を対象患者に投与し、安全性および有効性を評価する。
乳がんは、転移・進行性あるいは再発例において十分な治療法が確立していないがんのひとつであり、特にHER3陽性例では予後が悪いことが報告されている。U3-1402が他の治療法のない患者に新たな治療の選択肢を提供できることを期待すると、同社は述べている。
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・第一三共株式会社 ニュースリリース