奈良県内の薬局チェーンでC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造薬が調剤され、患者に渡っていたことが発覚した。製造販売元のギリアド・サイエンシズ指定の医薬品卸を通して製品を仕入れる正規ルートとは違うルートから薬局チェーンの本社が仕入れ、各店舗に納入したことで偽造品が流通したと見られている。厚労省は17日、流通経路の確認など偽造品の混入を避けるための注意喚起を都道府県や関係団体に通知し、迅速な対応を図った。
武田氏は、偽造薬への迅速な対応や実態解明に対する都道府県の協力に謝意を示した上で、医薬品の適正な流通を確保し、同様の事例の発生を防止するため、医療機関、薬局、製造販売業者に対する注意喚起に一層の協力を要請した。
また、「日本の医薬品流通は、偽造薬が非常に少なくコントロールされており、各国から高い評価をいただいている」と指摘。今回の事態に国として迅速な対応を図っていることを説明し、「引き続きわが国の医薬品流通が、より信頼されるものになるよう努力していきたい」と述べ、偽造薬の発生防止に取り組んでいく姿勢を強調した。
■来年度薬局ビジョン事業‐3月までに募集開始
一方、かかりつけ薬剤師・薬局の推進については、「地域包括ケアシステムの推進の中で、薬剤師・薬局が役割を適切に果たし、地域に暮らす人に医薬品を適切に使用してもらう環境作りが非常に大事になっている」と指摘。患者のための薬局ビジョンの実現に向け、「医療保険の政策と薬事行政と一体となって推進していきたい」との考えを示した。
2017年度予算案に計上した薬局ビジョン推進事業については、「事業の成果を積極的にアピールしていきたい」と意欲を示し、優良事例として他の地域に役立つような成果に期待感を表明した。
さらに、来年度事業の募集開始を1カ月前倒しの3月までに行う方針を明らかにし、「準備を始め、今年度実施していない自治体を含め、積極的に取り組んでもらいたい」と要請。今年は18年度診療報酬・介護報酬の同時改定に向けた議論が控えることから、「こうした大事な時期には、何より地域包括ケアシステムの中で薬剤師・薬局が積極的に職能を果たしていくこと、その実績を積み重ねていくことが大事」とした。