厚生労働省の薬事・食品衛生審議会血液事業部会適正使用調査会は18日、「血液製剤の使用指針」の改定案を概ね了承した。日本輸血・細胞治療学会による各血液製剤の使用ガイドライン策定と並行して行われているもので、2005年以来の大幅な改定となる。医療機関での推奨度について、「強い」「弱い」の2通りで提示すると共に、効果に対するエビデンスの強さに応じてA~Dの4段階で示すなど、最新の知見に基づいた内容に更新。3月の部会で了承後、年度内をメドに改定する方針だ。
改定案は、これまでの指針で定義してきた治療開始のトリガー、目標値の設定の仕方などについて、同学会による「科学的根拠に基づいた輸血ガイドライン(仮称)」に準拠させた。
血液製剤使用指針の推奨度について、「強く推奨する」と「弱く推奨する(提案する)」の2通りで提示。効果全般に対するエビデンスが強い順にA~Dの4段階で示した。
例えば、強く推奨(1)し、効果の推定値に強く確信がある(A)場合は、「1A」と表記。弱く推奨(2)し、効果の推定値がほとんど確信できない(D)場合は「2D」とする。
さらに、手術において自己血輸血を活用し、同種血輸血による病原体の伝播などを回避することを目的として、自己血輸血に関する章を新たに設置。産科手術において、1回当たりの自己血貯血量を200~400mgとするなど、疾患別の自己血輸血に関する指針を明記することとした。
ただ、「新生児・小児に対する輸血療法」の章については、並行して進めている学会のガイドライン策定作業が遅れていることを踏まえ、改定を見送ることとした。
今後、パブリックコメントを募った上で、3月に開催予定の部会に諮る予定。部会で了承が得られれば、年度内をメドに局長通知として発出する。