訪問薬剤管理指導を行う患者10人を対象として
神戸大学は1月11日、同大学医学部附属病院が、株式会社アインホールディングスおよび大日本印刷株式会社と共に、在宅医療を受けている患者の服薬状況を客観的に確認できる「服薬管理カレンダー」の開発と、同カレンダーを用いたエビデンスの構築を目的とする実証試験を開始すると発表した。
画像はリリースより
在宅医療を含む外来治療では、薬による治療で重要となる服用状況の正確な把握について、患者の自己申告や訪問時の事後確認といった不確実な情報に頼らざるを得ないのが現状だ。その結果、誤った服用情報に基づいて不必要な薬を追加したり、不要な残薬が発生しているとされている。
そこで3者は共同で、在宅医療で現在使われている「お薬カレンダー」の形態を変えず、より客観的な服用状況の確認ができる服薬管理カレンダーを開発。今回、そのプロトタイプが完成し、3者共同で、アイン薬局夕張店(北海道夕張市)で訪問薬剤管理指導を行っている患者10人を対象に、1月~3月の期間で実証試験を行い、エビデンスを蓄積して、より使いやすい服薬管理カレンダーの開発につなげていくとしている。
カレンダー裏面の回路で服薬情報を記録、スマートフォンで読み取り
今回は、患者の生活行動を可視化し、医療従事者が診断や処方、指導に活かせるシステム「DNP モニタリングシステム Your Manager」を活用。同カレンダーには、曜日ごとに朝・昼・夕食後、就寝前の4つのポケットがあり、各ポケットに1回服用分の薬が袋に入って1週間分格納されている。
カレンダーの裏面に回路を印刷して各ポケットと電子モジュールの端子をつないでおり、在宅医療を受けている患者がそのポケットから薬の入った袋を取り出すと、取り出したポケットの位置と日時が記録される。このカレンダーにNFC(短距離無線通信の国際標準規格)が搭載されたスマートフォンなどをかざすと、記録された情報を読み取り、スマートフォンの画面に服薬情報として表示するという。
同プロジェクトでは、神戸大学の薬剤部と患者支援センターはシステム評価およびエビデンス構築のための研究計画の立案と解析を担当し、アインホールディングスは実証試験の実施、大日本印刷は服薬管理カレンダーの作成および関連システムの構築と改修を担当する。研究を通じて作成する服薬管理カレンダーの普及に向けて、製品化と販売、供給体制の整備を行っていく予定。
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