滋賀県のパスカル薬局が2014年度の1年間に130医療機関から応需した7170枚の院外処方箋を対象に解析したところ、全処方箋のうちGE薬への変更不可指定品目が存在する処方箋は772枚(10.8%)だった。そのうち、処方箋に記載した全ての医薬品に対して変更不可を指定している処方箋は669枚と大部分を占め、全体の9.3%に達していた。
さらに、全変更不可指定の処方箋のうち、同薬局が20枚以上を応需した4医療機関について調べた結果、これら4施設から発行される処方箋では、全て記載されている全医薬品の変更が不可と指定されていた。同薬局が応需した全変更不可指定処方箋669枚のうち492枚(73.5%)が、この4施設から発行されたものだった。応需した処方箋全体から見ると、その比率は6.9%だった。
品目ベースで解析すると、調査対象の処方箋全体の記載品目数累計は2万2559品目で、このうち2527品目(11.2%)が変更不可と指定されていた。変更不可指定品目のうち代替可能なGE薬がないにもかかわらず、変更不可と指定された品目は27.0%に達していた。
一方、変更不可指定によって最も安価なGE薬に置き換えられなかった機会損失額を試算すると、処方箋1枚中の先発品1品目に対する機会損失額は平均1390円、GE薬1品目に対する損失額は平均106円だった。先発品に対する変更不可指定の機会損失額は、GE薬に比べ13倍以上大きかった。
これらの調査結果から、個々の患者の病態や診療内容、代替可能なGE薬の有無に関係なく、一部の医師は機械的に処方箋に記載する全ての品目を変更不可と指定している傾向が認められたという。横井氏は「処方医の変更不可の指定のあり方に問題がありそうだ」と指摘し、今後、大規模な調査を実施し実態を把握する必要があるとしている。
また、昨年4月以降、GE薬の銘柄を指定し変更不可にする場合にはその理由を処方箋に記載する義務が医師に課せられたが、機会損失額の大きさから「先発品にも変更不可理由の記載を広げ、その内容からGE薬使用促進の課題を解決していくことが必要」と呼びかけている。