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薬剤師がおさえておきたい 2016年度調剤報酬改定~第1回 保存版!改定内容「5つのポイント」

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2016年12月27日 AM10:31

2016年度診療報酬改定内容が3月4日に官報告示された。実施は、4月1日から。今回の改定内容のポイントはどこにあるのか。医薬ジャーナリストの藤田道男氏が、薬局・薬剤師が把握しておきたい「5つのポイント」を解説する。(掲載元:m3.com)

調剤は実質マイナス改定

昨年来の調剤批判もあり、「調剤のひとり負け」の懸念が広がっていた。しかし、結果的に調剤報酬本体は名目上0.17%のプラス(医療費ベースで100億円)となり、医科、歯科、調剤の改定比率も1:1.1:0.3が維持されるなど、関係者からは安堵の声が上がった。ただし、大型門前薬局の評価の適正化が“外枠”扱いとされており、実質的には60億円(同)のマイナス。薬価の通常引き下げ、特例の引き下げを含む市場拡大再算定による在庫金額の下落を勘案すれば、ネット(全体)のマイナス幅はさらに大きく、薬局経営に与える影響は少なくない。

16年度改定は医薬分業の完成への一里塚

今回の調剤報酬改定は、薬局機能や薬剤師職能の在り方を根本的に問い直す内容となっている。薬局は分業元年(1974年)以降の取り組みに対する意識改革と行動変容が求められる内容となっている。

改定内容全体を見渡せば、従来の調剤報酬体系からの転換を意図したことが窺える。すなわち、 調剤基本料や調剤料など薬剤師の作業手間(ワーキングフィー)に係る点数を合理化し、薬学的判断(メンタルフィー)の部分を評価する傾向が明確になった。16年度改定は激変を避けるためにソフトランディングとなったが、この傾向は次回、次々回改定でも踏襲される見通し。

」は患者からの評価

16年度調剤報酬改定における特徴は、厚労省の「」を反映した“かかりつけ薬剤師・薬局”が前面に打ち出されたこと。すなわち「かかりつけ薬剤師指導料」(70点)、「かかりつけ薬剤師包括管理料」(270点)の新設である。

患者の立場からは、「顔馴染み」であり、「何でも、いつでも相談でき」、「服用期間中もフォローしてくれる」関係にある薬剤師の存在は心強い限りと言える。かかりつけ薬剤師となるための施設基準では、(1)薬剤師として3年以上の薬局勤務経験、同一の保険薬局に週32時間以上、半年以上在籍、(2)研修認定制度等の研修認定取得――などが規定された。チェーンで転勤やグループ内薬局への支援などで勤務状況が不規則なケースはともかく、施設基準や算定要件を満たすことはそう難しくはない。むしろ、「患者から選ばれる薬剤師」になれるかどうかが課題と言える。

かかりつけ医とかかりつけ薬剤師の連携

厚生労働省保険局医療課「平成28年度調剤報酬改定及び薬剤関連の診療報酬改定の概要」参照

薬歴管理料、2回目以降減額はかかりつけ化促進

高齢者の服薬管理や残薬対応でも新設項目や変更があったことに注目したい。例えば、薬剤服用歴管理指導料は2回目以降が38点と初回時50点から軽減された。14年度改定でお薬手帳を持参しなかった患者が安くなる、といった現象が起こったこともあり、患者がかかりつけ薬剤師を選択しやすいようにとの配慮である。特別養護老人ホームの入所者に対して行った場合にも算定できる。薬歴管理料に絡んで電子お薬手帳も認められたことは、今後の医療のICT化をにらんだ布石と言える。

「重複服薬・相互作用等防止加算」では、従来の重複投薬・相互作用防止のほか、 薬剤師が過去のアレルギー歴や副作用歴などから判断し、処方医に疑義照会し、処方変更になった場合にも認められる。これは在宅でも同様であり、在宅医療における薬剤師業務への期待が窺える。

同様の対応は分割調剤でも認められた。現行では、(1)長期投薬で薬剤の保存が困難な場合、(2)後発医薬品を初めて服用する場合――だったが、新たに「医師の指示がある場合」も認められる。この場合、 2回目以降の調剤については患者の服用状況等を確認し、処方医に情報提供を行う必要がある。

調剤基本料関連

現行は「調剤基本料1」41点と処方箋受付回数及び特定の医療機関からの集中率に基づく特例である「調剤基本料2」25点が設定されているが、特例の範囲を拡大したほか、大型門前薬局を対象とした「調剤基本料3」20点をベースに、それぞれ妥結率が5割以下の薬局が対象となる「調剤基本料4」=31点、「調剤基本料5」=19点、「特別調剤基本料」=15点を設けた。

「1」はいずれも特例に当てはまらない薬局が対象だが、「かかりつけ薬剤師指導料」等の施設基準に適合していることが要件。また「2」「3」であってもかかりつけ薬剤師指導料」等の要件を満たす場合には「1」か「4」を算定できる。

調剤基本料の区分のいずれの薬局も、 かかりつけ薬局としての基本的な業務を1年間実施していない場合(月600回以下の薬局を除く)は調剤基本料の点数が1/2に減額される。ただし、減額措置は17年4月1日からの適用。

基準調剤加算は現行の「1」「2」を統合し、32点となった。要件は「過去1年間の在宅業務の実績」「管理薬剤師の実務経験として薬局勤務経験5年以上、当該薬局に週32時間以上の勤務・1年以上の在籍」「かかりつけ薬剤師指導料またはかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準の届け出」などのほか、「調剤基本料1」を算定している薬局に限る―とされた。一見、厳しい内容にみえるが、在宅の実績は過去1年間で1件以上となるなど現実的には緩い条件が設定された。

(ふじた・みちお)
中央大学法学部卒。医薬関係の出版社、株式会社じほう編集局に勤務し、各種媒体の編集長を歴任。退職後フリーの医薬ジャーナリストとして取材・執筆、講演活動を行う。
2010年、薬局薬剤師の教育研修のために「次世代薬局研究会2025」を立ち上げ、代表を務める。 主な著書は『2025年の薬局・薬剤師 未来を拓く20の提言』『かかりつけ薬局50選』『残る薬剤師 消える薬剤師』など多数。

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