■薬剤師・薬局関連で3億円
厚生労働省医薬・生活衛生局の2017年度予算案は、前年度比3.2%減の87億6500万円を計上。3年ぶりの減額となった。薬剤師・薬局関係予算案は約2割減の約3億円となったが、かかりつけ薬剤師・薬局の機能強化に向けた「患者のための薬局ビジョン」推進事業費は、要求額を満額確保した。かかりつけ機能を果たすための薬局の取り組み状況を把握する仕組み構築の経費を新規で盛り込んだ。
医薬・生活衛生局の予算案は、「推進枠」を生かして増額を要求していたが、3年ぶりの減額となった。薬剤師・薬局関連予算は3億0100万円を計上。全体では約2割の減額となったが、「患者のための薬局ビジョン」を踏まえた、かかりつけ薬剤師・薬局の普及・機能強化には1億9300万円と要求額を満額確保した。
16年度に引き続き、薬剤師・薬局が「かかりつけ薬剤師・薬局」として、地域包括ケアに貢献できるようテーマ別のモデル事業を充実させると共に、薬局ビジョンの進捗を管理するため、服薬指導や在宅対応など薬局の取り組み状況を把握する仕組み構築の経費を新規で計上した。全国5000薬局の取り組み状況を調査し、ビジョンに示したかかりつけ機能を果たしているかどうか把握できるようにする。
医薬分業推進費には3900万円を計上し、「薬と健康の週間」に合わせて広く医薬分業や医薬品の適正使用について国民に普及啓発などを行う。薬剤師養成事業費に1100万円を充て、生涯教育などを行う。
また、革新的な医薬品の実用化促進には、推進枠を生かして5億6000万円を確保。革新薬の最適使用の促進に新規で2億3000万円を計上し、「最適使用推進ガイドライン」を策定する体制整備を行う。
国の承認と異なる方法で製造し、不正な製造記録を隠ぺいしてきた化血研事件を踏まえ、製薬企業の全製造所への抜き打ちによる立ち入り検査を行うため、医薬品医療機器総合機構(PMDA)職員と都道府県に対する抜き打ち検査に必要な経費として1億9400万円を新規計上し、GMP査察体制の抜本的強化を図る。
そのほか、医療情報データベース推進事業に6億3400万円を確保し、18年度からの医療情報データベースシステム(MID-NET)本格運用を見据え、オンサイトセンター整備などシステム基盤の機能を強化する。さらに、妊婦・小児向け安全対策の強化に3100万円を計上し、妊婦や小児が医薬品を安心して使用できるようエビデンスを確立、添付文書の改訂などにつなげる。