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日本臨床疫学会が発足-データベース研究を推進

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2016年12月21日 AM11:00

ビッグデータを活用した質の高い臨床研究を通じて、医療が直面する課題の解決を目指す「」が発足した。実臨床のリアルワールドデータを活用した研究の方向性が示される中、疾患横断的に中立的な立場からデータベース研究の標準的な方法論を提供すると共に、学会内に「臨床疫学専門家制度」を創設して若手研究者の育成を図る。同学会代表理事に就任した福原俊一氏(福島県立医科大学副学長)は、18日に都内で開催された発足記念講演会で、「臨床疫学がビッグデータにアクセスできる時代になった。臨床研究で日本の医療を元気にしたい」と抱負を述べた。

福原氏

同学会の設立日は今年の2月12日で、本格的な活動に向けて準備を進めてきた。「医療者」をメインとした学会だが、企業やそこに在籍する個人、学生も会員になることができる。患者中心の医療に向けて、企業や行政、国民とも対話する開かれた学会を目指す。

質の高い臨床研究を世界に発信していくため、ビッグデータを活用した研究の振興と研究人材の育成に力を入れる。福原氏は、「臨床疫学はずっと注目されてこなかったが、ビッグデータを医療に活用できるようになったことで、臨床疫学研究の“適時”がやっときた」と強調。学会を通じて若手研究者が研究成果を発信する場を提供していく考えを述べた。

日本の国際的地位は年々低下している。基礎研究には強い一方、臨床研究で見ると日本から生まれた論文数は世界30位以下で、2002年の11位をピークにじりじりと下がっている。福原氏は、「医療者が研究したいリサーチクエスチョンを持っていても、それを具現化するリテラシーや方法論が分からないために、研究として反映できなかった」と原因を分析する。

こうした中、ITの技術革新を通じて、電子カルテやレセプトデータなど医療データベースを活用する研究の可能性が開けるようになり、「データベース研究の作法を提供していきたい」とし、学会主導で研究を進めていくための方法論や倫理的基準を提示していく考えだ。

また、高齢化社会を迎え、「多重併存疾患を持つ患者が増える中、臓器別専門医が患者の病気を治す医療が限界となり、今後治療と予防を行えるような総合診療医、総合内科医が求められている」と指摘。自らの医療行動を科学的に評価できる医師を育成していくためにも、「新たな学術基盤として臨床疫学研究が必要になる」との方向性を挙げた。

学会立ち上げに伴い、臨床疫学の専門家制度を創設した。ある一定のスキル・経験の要件を満たせば、「認定専門家」「上席専門家」「卓越専門家」の3段階で認定。医療経験5年以上の「医療者会員」とその他の「特別会員」が専門家資格の対象となる。5年以下の医療者で区分された「一般会員」や、企業に在籍する「企業会員」「賛助会員」も、臨床疫学研究の経験が5年以上などの条件を満たせば、「特別会員」の資格を取得できる。

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