産学連携全国がんゲノムスクリーニング事業の一環
アストラゼネカ株式会社は12月19日、国立がん研究センター(国がん)と肺がん免疫療法におけるバイオマーカー探索のための前向き観察研究「LC-SCRUM-IBIS(Immuno-Oncology Biomarker Study)」に関する共同研究契約を締結したと発表した。この研究は、2015年より始動した産学連携全国がんゲノムスクリーニング事業SCRUM-Japan(Cancer Genome Screening Project for Individualized Medicine in Japan)における新たな取り組み。研究の代表者は、国立がん研究センター東病院呼吸器内科長の後藤功一医師が務める。
画像はリリースより
SCRUM-Japanは、2013年に開始した肺がん遺伝子スクリーニングネットワーク「LC-SCRUM-Japan」と、翌2014年に開始した消化器がんの遺伝子スクリーニングネットワーク「GI-SCREEN」が統合してできたゲノムスクリーニング事業。全国約240医療機関と15社の製薬会社が参画し、日本のがん患者の遺伝子異常に合った治療薬や診断薬の開発を目指している産学連携プロジェクトだ。
肺がんの画期的な新薬開発に期待
国がんは、2015年のSCRUM-Japan始動以降、全国の医療機関ならびに製薬企業と連携して、大規模な遺伝子スクリーニングを実施し、新薬の治療開発や臨床ゲノムデータベース構築を進めてきたという。このSCRUM-Japanの基盤を活用し、RET融合遺伝子陽性肺がんを初めとした希少頻度の遺伝子異常を有するがんに対する治療開発が可能であることを国内外に示してきた。
LC-SCRUM-IBISは、LC-SCRUM-Japanにおいて実施中の観察研究の付随研究として実施予定。肺がんにおけるPD-L1の発現や様々な体細胞遺伝子変化について解析し、その結果と臨床病理学的因子、治療効果、予後との関係について検討することで、肺がんに対する免疫療法の新たなバイオマーカー探索を目指す。
アストラゼネカは、この共同研究により国がんから提供されるデータを活用し、肺がん患者の治療を改善する画期的な新薬を開発していきたいとしている。
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・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース