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造血幹細胞の細胞死を抑制する分子、脱ユビキチン化酵素USP10を同定-新潟大

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2016年12月16日 AM11:00

USP10欠損マウスで造血幹細胞が減少、造血不全を発症

新潟大学は12月14日、造血幹細胞の細胞死を抑制する分子として脱ユビキチン化酵素「USP10」を同定、USP10を欠損したマウスでは造血幹細胞の数が著しく減少し、造血不全を発症したことを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科・ウイルス学教室の樋口雅也准教授、藤井雅寛教授、川村宏樹客員研究員らの研究グループによるもの。研究成果は「Stem Cell Reports」に12月13日付けで掲載されている。


画像はリリースより

造血幹細胞は、すべての血球系細胞に分化可能な幹細胞であり、すべての血球系細胞の生存と維持に必須の役割を果たしている。造血幹細胞の生存維持に必須のサイトカインとしてstem cell factor(SCF)が知られており、SCFは造血幹細胞の自己複製、細胞死および多分化能の維持などを制御している。しかし、SCFが造血幹細胞の細胞死をどのように制御するのかについては不明な点があった。

USP10による細胞死の分子機構を標的とした治療薬の研究へ

研究グループは、造血幹細胞の細胞死を抑制する分子として脱ユビキチン化酵素としてUSP10を同定。USP10を欠損したマウスを樹立したところ、造血幹細胞の数が著しく減少し、造血不全を発症した。USP10欠損マウスでは、造血幹細胞の細胞死が昂進しており、USP10を欠損した造血幹細胞を、SCFを含まない培養液中で培養すると、細胞死が誘導された。この細胞死は野生型USP10では抑制されたが、脱ユビキチン化酵素活性を欠損したUSP10では抑制できなかった。これらの結果は、USP10が造血幹細胞の細胞死を特異的に抑制する脱ユビキチン化酵素であり、造血幹細胞の維持に関わることを示しているという。

造血幹細胞の異常は、造血不全症候群、免疫不全症および白血病などの疾患を発症させるが、その一部については原因が特定されていない。今後、これらの疾患にUSP10がどのように関与するのかを解析し、USP10による細胞死の分子機構を標的とした治療薬についても研究を進めていく予定、と研究グループは述べている。

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