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【ひたちなか総合病院】薬剤師業務を「見える化」-病棟で医療安全に貢献証明

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2016年12月12日 AM10:15


■赤外線センサーで行動明らかに

日立製作所ひたちなか総合病院は、名札型赤外線センサーを使って病棟薬剤師の行動データを測定し、電子カルテにアクセスした履歴と照合することで、急性期病棟の薬剤師業務の“”に成功した。病室滞在時間や電子カルテ操作時間などの項目を設け、1カ月間にわたり薬剤師の動態を追跡。位置情報と業務量を解析した結果、循環器病棟を対象に重要評価指標に設定した抗凝固薬・抗血小板薬の確認を全ての患者で行っていることが判明。病棟薬剤師が医療安全に貢献していることが裏付けられた。関利一薬局長は「病棟業務も時間ではなく、内容で評価されるべき。今後は、こうした切り口でエビデンスを形にすることを考えていかなければならない」と話している。

名札型赤外線センサーは、組織活動を可視化する世界初のシステム。名札型のセンサーを身につけた職員が病棟に設置された無線装置(ビーコン)に近づくと、センサーが赤外線を感知し、接続機器を通じて位置情報がパソコンからサーバーに転送されて蓄積、解析が行われる仕組みだ。

関氏らは、最も可視化が難しい病棟薬剤師の業務に着目。位置情報のデータと電子カルテのアクセス履歴を照合し、病棟薬剤師がいつどこで何をしたかという行動を可視化する試みに乗り出した。

看護師の行動と業務を調査した先行研究を参考に、急性期の循環器病棟(32床)に赤外線ビーコン252個を設置。5人の薬剤師を対象に、病室滞在時間と電子カルテ操作、入院時処方設計支援などの内服薬準備、重要評価指標(KPI)などの項目について分析した。KPIは病棟薬剤業務で重要なポイントとなる抗凝固薬・抗血小板薬の確認を設定した。

同院は、病棟薬剤業務実施加算を算定し、服薬指導も入院患者のほぼ全員に行っている。こうした環境下で検証が行われた。病棟薬剤師の病室滞在時間を見ると、1日平均7時間滞在していた。電子カルテの履歴と照合すると、朝サテライト薬局で患者の服薬指導画面を確認後、病室に行く9時~10時半ぐらいまでが服薬指導のピークとなる。

患者の入院時間になると持参薬をチェックする薬剤識別画面、入院時処方設計支援の画面にアクセスが急増。15時過ぎから検査結果画面、注射薬オーダーの締め切り時間近くにはオーダー画面へのアクセスが増えるなど、記録を積み上げることで薬剤師の行動傾向が見える化された。

同院では、院内合意のもと、入院患者の受付時に薬剤師が処方設計を支援し、医師に処方を提案、登録、処方オーダーするPBPMモデルを実践している。そこで、内服薬の準備プロセスを見た結果、新規入院患者の97.2%に処方設計支援が行われていた。注射薬の準備プロセスでは、患者、実施者、注射薬をバーコードで確認する「3点認証」を行うが、見える化により実施場所の95%が病室で、認証方法もラベル認証が99.6%と看護手順が遵守されていることが分かった。

関氏は「病室できちんと3点認証を行っているかどうかは赤外線センサーを使わなければ確認できない」と指摘。「全て見える化するのではなく、医療安全に特化して活用することが一つの方法ではないか」と話している。

KPIに設定した心臓カテーテル治療の抗凝固薬・抗血小板薬の確認は、電子カルテのテンプレートを活用することでチェック機能が働き、100%の患者で確認していることが判明。病棟薬剤師が医療の質を確保し、医療安全に寄与していることが裏付けられた。

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