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毎年改定に「断固反対」-製薬業界が足並み揃える

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2016年12月12日 AM10:30


■薬価部会で意見陳述

中央社会保険医療協議会は9日、薬価専門部会を開き、薬価制度の抜本改革に向け年内にまとめる政府基本方針について、製薬業界から意見聴取した。業界団体の日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)、日本医薬品卸売業連合会は、7日に経済財政諮問会議の民間議員が提言した全品目対象の薬価改定を毎年実施することに対し、揃って「断固反対」を表明した。

ヒアリングに臨む業界幹部

日薬連の多田正世会長は、「本日の意見と議論が(基本方針を決定する)4大臣会合に反映されることを期待したい」と強調した上で、現行薬価制度に課題があることを指摘。特に効能追加等によって大幅に市場規模が拡大する医薬品の薬価見直しについて、柔軟に対応するルールの検討が必要との認識を示した。

毎年薬価改定については、「企業の競争力を一様に弱体化させる」とし、イノベーション創出や医薬品の安定供給に重大な支障を来すと懸念を表明。2年に1度の診療報酬改定とのバランスを損なうことになるなどとし、断固反対を表明した。

一方で、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の制度化を求めたほか、薬価算定のあり方が「不透明」と問題意識が示されていた原価計算方式の製造総原価に言及。「まさに企業秘密であり、市場競争への影響を踏まえると公表できない」との考えを示した。

後発品については、日本ジェネリック製薬協会の吉田逸郎会長が、初収載薬価を「既に十分低い水準にある」として、さらなる引き下げに反対を表明。価格帯の集約も銘柄ごとの実勢価と改定薬価の乖離が拡大し、経営の予見性が損なわれると指摘。毎年薬価改定に対しては、「特に後発品メーカーが壊滅的になり、社会的責任を果たせない」と影響の大きさを訴え、強く反対するとした。

中川俊男委員(日本医師会副会長)は、製造総原価を公表できないとした説明に「身も蓋もない。原価計算方式ほど不透明なものはない」と苦言を呈し、吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)も「国民が分からない不透明感から、薬価制度の抜本的見直しという議論になっている。やはり製薬企業にも情報公開の工夫が必要」と迫ったが、多田氏は「製造原価を公表することは不当競争を招くことにつながるため、あり得ないというのが産業界のルール」と反論した。

■流通改善に逆行‐薬卸連 鈴木会長

また、薬卸連の鈴木賢会長は、毎年薬価改定を実施した場合、製薬企業からは高い仕切価、得意先からは改定前の薬価差率を要求され、医薬品卸が板挟みになり厳しい価格交渉が見込まれると問題点を指摘。毎年9月末までの短期間で価格交渉を行うことになるため、総価取引が増え、単品単価取引が後退し、結果的に流通改善に逆行すると訴えた。

さらに、改定前薬価の品目の買い控えと返品、欠品が顕在化し、これを避けるための医薬品卸の緊急配送が増加し、多大な負担がかかることに加え、頻繁な価格交渉が通常業務に支障を与えるとし、毎年薬価改定に断固反対を表明した。

鈴木氏は「これまでも薬価制度を守るために最大限努力してきた。東日本大震災、熊本地震など、あらゆる災害時にも医薬品を供給してきた」と訴える一方、諮問会議主導の議論について「本来は中医協の議論が先である。残念さとむなしさを感じる」と吐露した。

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