昨年2月に策定した「実務実習に関するガイドライン」では、学習成果基盤型(OBE)の考え方に基づいて、コアカリの薬学臨床の中項目GIO(5項目)の到達度を指標とした評価を求めている。
ただ、コアカリの表記を踏まえてOBEの考え方に基づいた評価を行おうとすると、学修成果(アウトカム)の考え方が多様になり、大学・実習施設間での円滑な連携に支障を来すことが懸念されるため、5項目のGIOを5領域のアウトカムとして捉えた評価の観点、進め方などを例として示した。
評価方法の例示では、評価の段階を原則4段階とした。第1段階は大学での学習を確認し、医療現場で指導薬剤師の指導のもと、実際に患者・来局者に対応できる(実習開始から2~4週間程度かけて到達するライン)とし、第3段階は薬剤師として医療現場で働くことができる基礎を身につけた状態(実習中に到達すべき基本目標の段階)、第4段階を薬剤師の目指すべき使命を実現できる状態とした。
実際の評価は、概略評価表を用いて行う。対象となる領域として、▽薬学臨床の基礎(生命の尊厳と薬剤師の社会的使命および社会的責任)▽処方箋に基づく調剤(処方監査と疑義照会、患者・来局者応対など)▽薬物療法の実践(患者情報の把握、医薬品情報の収集と評価・活用など)――を挙げた。
評価方法の例示では、実務実習記録(日誌・レポート)を活用して評価を行うことも提案している。実習生は、学習した内容、体験した事例、習得した能力などを簡潔に記録して指導薬剤師、教員等に提示。指導者は日誌の報告から実習の進捗状況を確認すると共に、今後の実習のフィードバックを行う。
連絡会議のワーキンググループ主査の鈴木匡氏(名古屋市立大学大学院薬学研究科)は、今回の例示について、「OBEの考え方に基づいた実習の評価が、大学と施設との連携のもとで円滑に行われるようにするためのもの」と説明した。
ガイドラインでは、大学が主導的な役割を果たし、病院・薬局と連携して実習を効果的に実施することを求めている。
その連携の基本となるものとして、実習開始前に実習生ごとに「実施計画書」を作成することになっているが、記載事項が大学によって異なると、複数大学の実習生を受け入れる施設では対応が難しくなることが考えられるため、具体的な記載事項が例示された。
大学側が実習施設に提示する事項として、▽実習生に関する情報▽大学での学習状況▽実習の概要――などを例示。実習施設が大学に提示する事項として、施設での具体的な実習内容とスケジュール案、実習指導体制、施設独自の実習内容や評価方法などを示した。
記載事項は、あくまで例示で、これを参考に大学と実習施設が協議し、個々の実習生の実施計画書を作成する。