政府の経済財政諮問会議は25日、高額な薬価が議論となった「オプジーボ」問題を受け、薬価制度の抜本改革を提言した。適応拡大で患者数が拡大した場合に薬価を引き下げるルールの設定や毎年改定の実施などを求めた。これに対し、塩崎恭久厚生労働相は、一定規模以上の市場拡大について、年4回の保険収載の機会を最大限生かして薬価を見直す方針を表明。安倍晋三首相は、薬価制度の抜本改革に向けた政府基本方針を年内にまとめるよう指示した。
同会議の民間議員は、適応拡大などに対応する薬価改定ルールがないことに問題意識を示し、予想患者数が拡大した場合、薬価を引き下げるルールを設定すべきとし、外国薬価を参照した外国平均価格調整についても、内外価格差が2倍以上など一定幅を超えている場合には薬価改定すべきとした。
類似薬がない新薬の原価計算方式についても問題意識を示し、製造総原価の内訳が不透明で予想患者数も過小であることが多いと指摘。製造総原価の詳細内訳を公表することを義務づけるよう促した。後発品についても「国際的に見て高すぎる」とし、薬価を3~4割程度下げ、価格帯も一本化すべきと提言。さらに薬価の毎年改定の実施や費用対効果に応じた薬価とすることを求め、厚労省と連携して年内に薬価制度の抜本改革の基本方針をまとめるべきとした。
これに対し、塩崎厚労相は、早急に政府基本方針を策定する考えを示して応じ、一定規模以上の市場拡大には年4回の保険収載の機会を最大限生かして薬価を見直すほか、一定以上の薬価差が生じた品目は少なくとも年1回薬価を見直す考えを表明。費用対効果評価による価値に基づき、薬価引き上げを含めた価格設定を本格導入する方針も示した。
麻生太郎財務相は、「今後、高額薬剤が登場してくると、薬価制度の抜本改革は避けられない」との認識を示した。