指針の見直し素案では、癌、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患の5疾患、救急医療、災害時医療、へき地医療、周産期・小児医療の5事業と在宅医療を定め、地域包括ケアシステムの構築に向け、医療機関と関係機関の連携がますます重要となるとの認識を示し、地域全体で効率的・効果的な医療提供体制を構築していくことが必要とした。
その上で、次期医療計画では、急性期から回復期・慢性期まで切れ目ない連携体制作りに取り組み、疾病・介護予防まで含めた体制を構築していくため、病病連携、病診連携を一層進めることが必要とした。また、薬局との連携についても言及。薬物療法についても入院から外来、在宅医療へ移行する中、円滑に提供し続けることが重要とし、そのため地域の薬局では医療機関等と連携して患者の服薬情報を一元的、継続的に把握し、適切な薬物療法を提供することや、入退院時における医療機関との連携、休日・夜間対応などの役割を果たす必要性を明記した。
計画に位置づける5疾病のうち、癌に関する医療提供体制については、均てん化を進めるため、外来や在宅での診療に関して、癌診療連携拠点病院を中心に他の医療機関、薬局などとの地域連携体制を構築するとし、計画の進捗を評価する指標として、新たに薬局における在宅緩和ケアの実施回数を盛り込むことを例示した。
急性心筋梗塞は心筋梗塞等の心血管疾患に見直した上で、回復期、慢性期を含めた医療提供体制を構築するとし、早期心臓リハビリテーションの推進や運動療法、薬物療法など、急性期から回復期、慢性期まで一貫した医療が提供されるよう、かかりつけ薬剤師・薬局の活用を含め、医療機関相互の連携を図ることを求めた。
糖尿病に関しては、重症化予防対策に受診中断患者数の減少や早期からの適切な指導、治療が重要とし、医療機関と薬局、保険者が連携する取り組みを進めることを促すと共に、糖尿病の初期や安定期、専門治療において、地域で医療機関と薬局、保険者が連携し、健診者や治療中断者への受診勧奨を行う体制を構築するとした。
5事業のうち救急医療でも、地域で連携したきめ細かな取り組みを進めるとし、初期救急医療機関の整備と共に、休日・夜間対応できる薬局、精神科救急と一般救急との連携をさらに進める方向性を打ち出した。
災害時の医療では、被災地に必要な医薬品の提供体制を確保するため、災害医療の連携体制のもとで検討し、円滑に取り組むことができるようにすると共に、医療チーム、地域薬剤師会、医薬品卸売販売業者など関係機関の連携体制作りを進めるとした。
在宅医療では、必要な医療機能を確実に確保するため、各医療機能との関係が不明瞭な指標を見直すとし、実績に着目した指標の充実を図る方針を明記。その一つとして、在宅患者訪問薬剤管理指導料、居宅療養管理指導費を算定している薬局数を盛り込んだ。