信州大による調査委員会の調査終了を受け見解を公表
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種後に生じた運動障害や慢性の痛みなどの症状について研究した、厚生労働科学研究事業「子宮頸がんワクチン接種後の神経障害に関する治療法の確立と情報提供についての研究」(代表:信州大学医学部 池田修一教授)について、信州大学による調査委員会の調査が終了し、「マウス実験の結果が科学的に証明されたような情報として社会に広まってしまったことは否定できない」などの内容が公表されたことを受け、厚生労働省は11月24日、同省ウェブサイトで見解を発表した。
同省は「池田氏の不適切な発表により、国民に対して誤解を招く事態となったことについての池田氏の社会的責任は大きく、大変遺憾に思っております」との見解を示すとともに、「この度の池田班の研究結果では、HPVワクチン接種後に生じた症状がHPVワクチンによって生じたかどうかについては何も証明されていない、と考えております」としている。
信州大・調査委員会は「猛省を求める」にとどまる
この問題は2016年3月16日、池田班が厚労省内で行った発表会で、「HPVワクチンを接種したマウスのみに自己抗体の沈着を示す陽性反応があった」と報告したことに端を発する。この報告に、一部報道機関から「ねつ造」との指摘があり、池田教授が所属する信州大学は外部有識者による調査委員会を設置、調査を行っていた。
信州大学の調査委員会は、調査の結果として、以下の内容を公表している。
- マウス実験は、各ワクチン1匹のマウスを用いた予備的なものであった。
- 予備的な実験であったため、結果の公表に際しては特段の配慮がなされるべきであった。
- 池田氏が発表で用いたスライドには、マウス実験結果を断定的に表現した記述や、自己抗体の沈着、といった不適切な表現が含まれていた。
- 前述より、マウス実験の結果が科学的に証明されたような情報として社会に広まってしまったことは否定できない。
- 池田氏に対し、混乱を招いたことについて猛省を求める。