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膀胱がんの浸潤を制御する新規因子「ダイナミン」を同定-岡山大

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2016年11月24日 PM12:30

不明だった浸潤突起の形成メカニズム

岡山大学は11月18日、ヒト膀胱がん細胞の浸潤を制御する新規因子としてタンパク質「」を同定し、その機能を阻害することで、膀胱がん細胞の浸潤が劇的に抑制されることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医歯薬学総合研究科(医)の竹田哲也助教、竹居孝二教授、那須保友教授、岡山大学病院新医療研究開発センターの渡部昌実教授らの共同研究チームによるもの。研究成果は国際科学雑誌「Biochemical andBiophysical Research Communications」(BBRC)に11月8日付けで掲載されている。


画像はリリースより

がん患者の死因の90%以上は、転移によるものであり、がん細胞は周辺組織の奥深くに浸潤し、血管やリンパ管を通じて、離れた組織や臓器に移動することで転移する。がん細胞の浸潤には、浸潤突起とよばれる細胞膜構造が深く関与することが知られている。浸潤突起は、タンパク質分解酵素を分泌して周辺組織を破壊し、がん細胞が組織の奥深くへと進行するのを助ける働きをする。しかし、がん細胞がどのように浸潤突起を形成するのか、そのメカニズムの解明は進んでいなかった。

ダイナミンの機能阻害で、膀胱がん細胞の浸潤を抑制

今回、研究チームは、浸潤性の高い膀胱がん細胞を用いて、ダイナミンが浸潤突起を構成するタンパク質のひとつであることを発見。ダイナミンを特異的に阻害する薬剤や、RNA干渉法とよばれる手法を用いてダイナミンの機能を阻害したところ、膀胱がん細胞の浸潤突起が減少し、浸潤能力が著しく抑制されることが明らかになったという。

ダイナミンは、アクチンやコルタクチンといった浸潤突起を構成する他のタンパク質と相互作用することが知られている。このことから、ダイナミンが浸潤突起を構成するこれらのタンパク質と協働しながら、がん細胞の浸潤を制御することが、この研究によって強く示唆されたとしている。

また、ダイナミンは、膀胱がんだけでなく、肺がんや膵臓がん、)といった、さまざまながんの浸潤や転移に関与することが知られている。同研究の成果は、がんの浸潤や転移メカニズムの全貌解明に向けた、重要なステップになると考えられる。現在用いられている抗がん剤の多くは、がん細胞の増殖を抑えるものであるため、正常な細胞の増殖も抑えてしまう副作用が問題になっている。今後、がん浸潤メカニズムの解明が進めば、浸潤をターゲットとした、副作用の少ない、より効果的な抗がん剤の開発につながることが期待できる、と研究チームは述べている。

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