家族介護者の患者や病態に関する認知を適正化
大阪大学は11月15日、うつ病患者の家族介護者への支援Webアプリ「みまもメイト」を開発したと発表した。この開発は、同大保健センターの工藤喬教授および日本電信電話株式会社コミュニケーション科学基礎研究所山下直美主任研究員らの研究グループが行ったもの。研究成果は、第16回日本認知療法学会で11月25日に発表予定。
画像はリリースより
うつ病患者の家族介護者が、うつ病患者やうつ病という病気に対して偏った考え方(認知)を持つ場合、患者の症状が快復しないことも多い。
同アプリを家族介護者が利用することにより、ネガティブに偏りがちな患者や病態に関する家族介護者の認知の適正化を図ることができ、患者の症状改善が見られたという。
患者と家族介護者のコミュニケーションが活発に
同アプリでは、家族介護者に、「今日のできごと」として患者の活動記録の記載を求める。記載は、「よかった出来事」、「悪かった出来事」、「今後に活かせること」の3つの項目に分けて記載する。この記載のため、家族介護者から患者へ、より一層の問いかけや観察がなされ、患者と家族介護者のコミュニケーションが活発となるという。また、過去の記載を患者の基本的活動のチャート上で閲覧でき、患者の状態を時系列で把握できる 。
同アプリは、家族介護者が多方面から患者を客観的に把握できるよう促進。このため、一般的にネガティブに偏りがちな家族介護者の考え方を適正化することができ、家族介護者の負担軽減につながることが明らかになったという。
さらに、同アプリを使用した成果として、家族介護者に(1)患者に対する注意力の向上、(2)患者の言動に対する理解、(3)具体的な対応方法の発見が生まれることが確認され、患者のうつ病自体の症状改善にもつながることが明らかになった。この技術は、認知行動療法を応用したもの。認知症などほかの精神疾患への応用も見込まれ、現在研究を開始しているという。
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・大阪大学 研究リリース