スタチンでコントロール不十分な高コレステロール血症の患者を対象として
サノフィ株式会社は11月16日、急性冠症候群(Acute Coronary Syndrome)で入院した患者において、スタチンでコントロール不十分な高コレステロール血症の患者を対象に、アテローム性動脈硬化を基盤とする冠動脈プラークの進展/退縮に対する高コレステロール血症治療剤「プラルエント(R)」(一般名:アリロクマブ(遺伝子組換え))の影響について標準治療群と比較検討する製造販売後臨床試験「ODYSSEY J-IVUS」を開始したと発表した。
ACSは、冠動脈内の動脈硬化性プラークの破綻とそれに引き続く血栓形成(アテローム血栓症)による心筋虚血により発症し、心臓突然死などの虚血性イベントへ移行するリスク、また再発するリスクが極めて高いと言われている。高コレステロール血症を含む脂質異常症は、冠動脈内プラーク成長の危険因子であることから、虚血の治療(抗血小板療法)に加えてLDLコレステロール値(LDL-C)の低下を中心とした脂質管理による二次予防が必要とされている。
これまで、いくつかの大規模臨床試験において、ACS患者におけるLDL-C低下療法が心血管イベントのリスクを減少させることが検証されており、血管内超音波(IVUS)検査によって既存のLDL-C低下療法が冠動脈内プラークの進展を抑制することも明らかとなっている。また、PCSK9(プロ蛋白質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)阻害剤によるさらなるLDL-C低下療法が冠動脈内プラークの進展/退縮、心血管イベントのリスクに与える影響についても期待が高まっている。
血管内超音波にて測定する冠動脈内プラーク量の変化率を評価
既存のLDL-C低下療法を受けているにもかかわらずLDL-Cの管理目標を達成できないハイリスクの患者や、遺伝的に血清LDL-Cが高い家族性高コレステロール血症患者も多い。このように脂質治療におけるアンメット・メディカルニーズが存在する中、今回の試験では、脂質治療の新たな治療選択肢であるプラルエントが日本人のACS患者の冠動脈内プラークに与える影響について、IVUSを用いて検討する。
同試験の実施期間は2016年11月~2018年9月で、目標症例数は、アリロクマブ群100例、標準治療群100例の計200例。ランダム化、均等割り付け、多施設共同、盲検下血管内超音波画像解析、非盲検、並行群間比較試験で、主要評価項目は血管内超音波にて測定する冠動脈内プラーク量の変化率、主な副次評価項目は安全性及び忍容性。観察期間は9か月としている。
なお、プラルエントは、PCSK9を標的とし、LDL-C値を低下させる薬剤としてサノフィとRegeneron社が共同開発した完全ヒト型モノクローナル抗体。同剤は、「Praluent(R)」のブランド名で、米国、英国、ドイツ、北欧諸国において販売されている。
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・サノフィ株式会社 プレスリリース