■神奈川県薬が調査
神奈川県薬剤師会と新潟薬科大学の小林大高教授が神奈川県内の60薬局を対象に行った疑義照会率に関する調査で、4.92%(速報値)という高い結果が得られていたことが分かった。日本薬剤師会が鹿村恵明氏(東京理科大学薬学部教授)への委託事業で行った「2015年度全国薬局疑義照会調査報告書」の疑義照会率2.56%に比べると倍近い数値だ。神奈川県薬の後藤知良副会長は、「疑義照会は薬剤師の権利であり、義務」と強調した上で、「薬剤師が医療安全に貢献している実態を早めに示したかった」と語った。
調査は、今年7月の1カ月間、県内60薬局(県薬の地域保健委員など)を対象に実施。57薬局から回答(回収率95%)を得て、9万9579枚(薬局平均1747枚)の処方箋に関する情報を得た。
その結果、疑義照会回数の合計は4900回、疑義照会率は4.92%で、「全国平均に比して非常に高い数値となった」とした上で、「調査対象となった薬局が処方箋の監査に積極的であることが予想される」と分析。一方で、地域内の医療機関が発行する処方箋が「十分に成熟していない可能性も示唆される」ともした。
薬剤服用歴の記録や、患者・家族等からの情報等に基づいて薬剤師が医師に疑義照会を行い、実際に処方変更につながったケースを評価する「重複投薬・相互作用等防止加算」(30点)の算定割合も調査。4900回の全疑義照会のうち、20.51%(1005回)が同加算の対象となっていたことが分かった。
また、同加算の内訳について調査した結果、「残薬調整」が34.64%で最も多く、「薬歴照会による変更」が30.62%、外用剤の使用法未記載や、医師の単純な処方ミス、適用外および倍量処方などの「事務的変更」が25.2%、「相互作用にかかる変更」が7.02%、「用量変更」が6.62%、「効能効果にかかる変更」が5.62%だった。
後藤氏は、県独自の疑義照会調査を行った背景について、日薬の全国調査による疑義照会率2.56%に言及した上で、「そこまで低くないだろうという感覚があった」と説明。
また、今回、調査対象となったのは、同県薬の地域保健委員などを担当している薬局で、日頃から日常業務にしっかり取り組んでいる状況がうかがえるため、高い数値が出た可能性もあるが、「薬剤師が医療に貢献している実態が一定程度示せたのでは」とした。