世界初、エクオール産生能とPMS/PMDDとの関連性を検討
近畿大学は11月10日、大豆イソフラボン活性代謝物エクオール産生能と月経前症候群(PMS)/月経前不快気分障害(PMDD)の関係を確認する研究結果を発表した。この研究は、同大学東洋医学研究所と、大塚製薬株式会社・佐賀栄養製品研究所との共同で行われたもの。研究成果は11月5日の第31回日本女性医学学会学術集会で発表され、「The Journal of Obstetrics and Gynaecology Research」の11月号に掲載された。
画像はリリースより
PMSやPMDDは、月経前の不快な精神・身体症状を特徴とし、女性のQOLを著しく損なう。エクオールは、大豆イソフラボンのひとつであるダイゼインから、腸内細菌の働きによって産生される代謝物。大豆を摂取することにより腸内で産生され、エストロゲン受容体に結合することから弱いエストロゲン様作用を有するといわれている。エクオール産生者は更年期障害や乳がん等のエストロゲン依存性疾患において優位性を認められている。エクオール産生能とPMS/PMDDとの関連性に関する検討は世界的にも例がなく、今回は両者の関連性検討を目的としたという。
エクオール非産生者は産生者に比べ、PMS/PMDDのリスクが約2.4倍に
研究グループは、PMS/PMDD治療中患者46名(P群)と非治療者98名(C群)を対象に、エクオール非産生者と産生者の割合を比較。C群は一般公募し、正常な月経周期(25日から38日周期)を有し、PMS/PMDD未治療、経口避妊薬非内服のすべてを満たすものとした。エクオール産生能は大豆負荷試験により判定し、尿中エクオール濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定、評価した。その結果、P群ではエクオール産生者の割合が23.9%とC群の41.8%と比べ有意に低かった(p=0.042)。さらに、PMS/PMDDのリスク解析では、エクオール非産生者は産生者に比べ、リスクが約2.4倍高まるという結果が得られた。
エクオールを産生できる人の割合は、日本や中国など大豆をよく食べる国では約50%、欧米人では約30%にとどまるといわれる。大豆を食べても、その恩恵を受けられない人がいるといい、これらの人には、エクオールを含む食品の利用も選択肢のひとつとされる。今後、閉経後の女性への健康効果だけでなく、それより前の女性の健康問題であるPMS/PMDDへの対処方法の選択肢が増えることが期待されると、研究グループは述べている。
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