(薬学教育協議会調査一部改変)
調査は、6年制第5期生を輩出した薬系大学をはじめ、全国の国公私立薬系大学73大学(74学部)から回答を得たもの。6年制卒業生の総数は9403人と昨年に比べて634人増加した。男女別に見ると、男性が3767人、女性5636人だった。
このうち、大学が進路を把握した就職者は7751人で卒業生の82.4%となった。就職率は82.5%で昨年に比べて0.3%とわずかに低下し、特に男性では79.3%と2年連続で8割を切った。
就職しなかった人の総数は1652人で、大幅に増えた昨年の1559人よりも増加した。その中で、進学者は188人と大幅に減った昨年の170人からやや持ち直したものの、非就職者と未定の人の合計は1445人と、昨年の1367人からさらに増えたことが明らかになった。
非就職者と未定の人の割合は全体の15%程度と昨年並みに高かったが、第101回薬剤師国試の新卒合格率は86.24%と大きく改善したにもかかわらず、卒業者の4分の1が薬剤師資格を取得していないことが判明。さらに、新卒者のうち1161人が国試を受験しなかったことが明らかになっており、憂慮すべき傾向は改善の兆しが見られていない。
6年制卒業生の就職先を見ると、最も多かったのは薬局の3199人で、全体の34.0%を占めた。ドラッグストアなどの一般販売業の395人、卸売販売業の48人を合わせると約4割を占め、前年と同様の傾向だった。次いで多かったのは、国公私立の大学付属病院・一般病院・診療所薬局の2573人(27.4%)で前年度に比べて227人増加した。
さらに、有給・無給を含め病院・薬局の研究生となった120人を合わせると6335人となり、6年制学科の卒業生の7割近くが薬剤師免許を生かせる医療関係職に就いたことが分かった。同協議会は「医療人養成を目標に掲げる6年制薬学教育が浸透してきた証」としつつも、「薬剤師不足を解消しようとする動きの結果」との見方も示した。
これに対して、医薬品関連企業に就職した人は、「開発・学術」が299人と3.2%にとどまり、「医薬情報担当者」(MR)の327人、「研究・試験・製造」の172人、「その他の職種」の37人を含めても、合計835人と全体の8.9%と1割にも満たなかった。
行政への就職者は282人と、昨年度の225人から引き続き増加傾向を示している。
■6年制初の博士修了者、半数が教育・研究職に
一方、6年制薬学部に併設される4年制学科の大学院博士前期課程(修士課程)、博士後期課程(博士課程)を修了した(4+2+3)卒業生の進路を見ると、博士課程修了者は、国公立が162人、私立が31人で、国公立修了者の80.2%、私立修了者の61.3%は男性だったが、昨年に比べて女性の割合がやや高くなった。
国公立の薬系大学院博士課程修了者の就職動向を見ると、製薬企業の研究・開発職が57人、大学の助教など教育・研究職が57人と最も多く、これら就職先が7割程度と大半を占めた。次いで多かったのは、海外留学者などの「非就職者」で15人となった。
私立の薬系大学院博士課程修了者では、教育・研究職が11人(35.5%)と最も多く、昨年度の6.9%から大幅に増加して復調傾向を示した。次いで製薬企業の研究・開発職が9人となった。
さらに今回、6年制学科の大学院博士課程(6+4)の初めての修了者119人が誕生した。その就職先として最も多かったのが、大学の助教など教育・研究職の59人で全体の半数を占めた。次いで、病院薬局・薬剤部が14人、製薬企業の研究・開発職が11人で、国公立から保険薬局に就職した人、国公私立合わせて、製薬企業のMRに就職した人はいなかった。