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【中医協総会】薬価申請、“企業戦略”を問題視-外国調整ルールの見直しを

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2016年11月11日 AM10:30

中央社会保険医療協議会は、9日の総会で日本イーライリリーの乾癬治療薬「」の薬価収載を改めて審議した。同剤は、外国平均価格調整によって高い薬価が設定されたため、同じ効能・効果で薬価が安い薬剤を優先的に使用する留意事項通知を発出することを前提に、8月24日の中医協総会で了承されていたもの。しかし、企業側は使用が制限される状況を踏まえ、薬価収載申請を取り下げ、再度申請し直していた。支払・診療の両側委員らは、こうした製薬企業の“戦略”を問題視。中医協で決まったことを取り下げる際には、「合理的な説明が必要」などと批判した。

8月の中医協総会で「トルツ皮下注」は、外国平均価格調整が適用されたことにより、調整前に14万6244円だった薬価が10万円アップの24万5873円に設定。最類似薬の「コセンティクス皮下注」の薬価7万3132円と比較すると、3倍以上の引き上げとなった。

しかし、中医協では、同じ効能効果で薬価の低い「」や「」を「優先的に使用するようにすべき」との意見が相次いだため、厚生労働省が効能・効果が同じ薬価の安い類薬の使用を優先させる旨の留意事項を発出することを条件に了承された。

この場合、薬剤の使用が限定されることが想定されるため、日本イーライリリーは収載希望を一旦取り下げ、その後、再度申請していた。

薬価が引き上げられる要因となった外国平均価格調整では、「最高価格が最低価格の3倍を上回る場合」には最高価格を除外するルールがある。8月の中医協資料では、80mg1mL1筒/80mg1mL1キットの最高価格は米国の58万6001円に対し、最低価格は英国の20万2500円で、3倍を上回らなかったため、外国平均価格が39万4251円に設定され、調整によって薬価が引き上げられた。

しかし、収載希望時期を遅らせたことで、米ドルや英ポンドの為替が変動。米国と英国の差が3倍を上回ったことから、米国の価格が外され、外国平均価格調整による引き上げの適用を免れ、算定価格が類薬並みの14万6244円となり、使用制限につながる留意事項通知の発出も不要となった。

診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「英国のEU離脱によってポンド安になった」タイミングを見計らって、再度、申請を行った企業の姿勢を問題視し、「企業戦略に中医協が翻弄されている」と指摘。

支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)も「中医協で決まったことが企業の都合で勝手に取り下げられていいのか」とし、保険収載希望を取り下げる場合、「納得できる合理的な理由を中医協で説明するなどの手続きをとるべき」と主張した。

また、複数の委員から、外国平均価格調整の比較対象国から米国を除外すべきとの意見が出た。中川氏は「米国の価格は、メーカーの希望価格であり、値引きを前提に高く設定している」との認識を示したことで、現行の外国平均価格調整ルールを見直すことを提案した。

他の委員からも、「米国の価格は特殊。十分議論の余地がある」「参考程度にとどめるべき」などの意見が出た。

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