中央社会保険医療協議会は、9日の総会で日本イーライリリーの乾癬治療薬「トルツ皮下注」の薬価収載を改めて審議した。同剤は、外国平均価格調整によって高い薬価が設定されたため、同じ効能・効果で薬価が安い薬剤を優先的に使用する留意事項通知を発出することを前提に、8月24日の中医協総会で了承されていたもの。しかし、企業側は使用が制限される状況を踏まえ、薬価収載申請を取り下げ、再度申請し直していた。支払・診療の両側委員らは、こうした製薬企業の“戦略”を問題視。中医協で決まったことを取り下げる際には、「合理的な説明が必要」などと批判した。
8月の中医協総会で「トルツ皮下注」は、外国平均価格調整が適用されたことにより、調整前に14万6244円だった薬価が10万円アップの24万5873円に設定。最類似薬の「コセンティクス皮下注」の薬価7万3132円と比較すると、3倍以上の引き上げとなった。
しかし、中医協では、同じ効能効果で薬価の低い「ルミセフ」や「コセンティクス」を「優先的に使用するようにすべき」との意見が相次いだため、厚生労働省が効能・効果が同じ薬価の安い類薬の使用を優先させる旨の留意事項を発出することを条件に了承された。