■疑義照会関連で21.8%に
日本医療機能評価機構は8日、2015年の薬局ヒヤリ・ハット事例をまとめた集計結果を公表した。昨年の薬局におけるヒヤリ・ハット事例の報告件数は4779件。医療機関で発生した処方の誤りを、薬局で発見した疑義照会関連の事例が1000件を超え、その割合も21.8%と前年から大幅に増えた。また、ハイリスク薬の免疫抑制剤で休薬期間が必要なメトトレキサート製剤に関するヒヤリ・ハット事例を分析した結果、シートの形状が原因でカプセル数を間違えるなど、数量間違えの事例が半数近くに上ることが分かった。
15年に報告されたヒヤリ・ハット事例は、調剤関連が3727件(78%)、疑義照会関連が1040件(21.8%)と1000件を突破。特に疑義照会関連のヒヤリ・ハット事例は、前年の14.6%から大幅に増え、全体の2割以上を占めるまでになり、薬剤師が水際で副作用を防ぐ事例が増えていることがうかがえた。そのうち、薬剤変更に関する事例が362件と最多で、仮に変更前の処方通りに服用した場合、患者に健康被害があったと推測される事例が6割以上に上った。
後発品の使用促進を受け、一般名処方に関するヒヤリ・ハット事例を分析したところ、昨年報告された4779件のうち282件(5.9%)と、件数は前年に比べて減ったものの、全体に占める割合は引き続き増加傾向にあった。そのうち、調剤に関する事例が224件と前年から28件減少した一方、疑義照会に関する事例は22件増えて58件となった。
調剤に関する事例の内訳を見ると、薬剤取り違えが133件(59.4%)と最も多く、その内容は同じ成分の医薬品と取り違えた事例が65.4%に上り、異なる成分の医薬品と間違えた事例(34.6%)より多かった。内容は、先発品と後発品の取り違えが82.8%と最も多かったが、後発品同士の取り違えも6.9%あった。
後発品への変更に関する事例は141件と全体の3%。同様に薬剤を取り違えた事例が104件で最も多く、そのうち後発品へ変更調剤するところ、同一成分の先発品を調剤した事例が90件(86.5%)と9割近くに上った。
また今回は、ハイリスク薬に関する事例のうち、免疫抑制剤に関するヒヤリ・ハット事例の分析も行われた。免疫抑制剤に関する事例は75件と、ヒヤリ・ハット事例の1.6%となり、そのうち調剤関連が60件、疑義照会関連が15件となった。
そのうち、休薬期間が必要で、誤って連日投与すると骨髄抑制を発症し、患者に重大な影響を与える可能性があるメトトレキサート製剤に関連した事例は11件(0.2%)。その内訳は調剤関連が7件、疑義照会関連が4件だった。調剤関連の事例では、シートの形状が原因でカプセル数を誤るなどの数量間違いが5件で最も多かった。