合弁会社の出資比率はBIKEN財団66.6%、田辺三菱製薬33.4%。BIKEN財団の製造拠点がある香川県観音寺市に本社を置く。代表者はBIKEN財団から派遣する予定。BIKEN財団の職員823人のうち生産関連職員約500人が合弁会社に出向するほか、田辺三菱製薬からも業務に必要な社員が出向する見通しだ。
今回の連携を持ちかけたのはBIKEN財団側だ。香川県観音寺市瀬戸町に2011年に開設した瀬戸センターでのワクチン製造を本格化すべく準備を進めてきたが、単独の取り組みでは時間を要すると判断。今年5月頃、医薬品生産システムや管理手法の提供を田辺三菱製薬に打診し、合弁会社の設立が決まった。
BIKEN財団は、19年ごろにワクチンの生産量を現在より2~3割増やしたい考え。特に帯状疱疹の適応拡大によって需要が高まる水痘ワクチンについては、観音寺市八幡の製造拠点に加えて瀬戸センターでも製造できるようにし、生産量を2~3倍に増やす見通し。このほか不活化ポリオワクチンの製造も東京都の拠点から瀬戸センターに移す予定だ。
7日に大阪市内で開いた記者会見でBIKEN財団の山西弘一理事長は、こうした増産計画の円滑な実施に向けて「田辺三菱製薬から協力していただき、スピードアップしてワクチンの安定供給に努めたい」と話した。
田辺三菱製薬は、BIKEN財団が製造するワクチンの7~8割を販売する重要なパートナーだ。同日の記者会見で同社の三津家正之社長は、協力によって円滑な増産が実現すれば「それがそのまま当社の販売量増加につながる」とメリットを語った。ワクチン領域は同社が重点疾患領域に掲げる4領域の一つ。三津家氏は今回の連携を機に、BIKEN財団との関係をより強化したい考えも示した。
とはいえ合弁会社設立後も、従来通りBIKEN財団が他の製薬会社にワクチンを販売するルートは残り、田辺三菱製薬が独占するわけではない。今後、共同開発したワクチンや新しいワクチンが登場した場合に、今回の連携関係が生きてくる見通しだ。