四国4県を代表して意見を述べた徳島県病薬の石澤啓介会長(徳島大学病院薬剤部長)は、今後ベッド数の増加が見込まれる回復期病床で薬剤師が十分な薬学的ケアを実践することによって、有効性の向上や副作用の減少、医薬品費の削減、地域連携の推進が見込まれると指摘。しかし現在、回復期病床では薬剤管理指導料や病棟薬剤業務実施加算は包括化され、個別に算定できないために薬剤師が関与しづらいとし、「出来高での算定にしてほしい」と要望した。
木平氏は、回復期病床では「入院期間が限られる中でしっかりした薬物療法の管理が必要なのに、個別の算定は包括になっている。そこをなんとかしてほしいというのが皆さんの要望だと思う」と同調。次回改定に向けた重点要望事項の一つとして取り上げたい意向を示した。また、要望を実現させるには、薬剤師の関与によるメリットを示したエビデンスが重要になるとし、その構築を呼びかけた。
このほか診療報酬改定について▽精神・療養病床における病棟薬剤業務実施加算の8週間の算定制限を撤廃▽無菌製剤処理料1の加点▽病院全体での抗がん剤曝露対策に関する加算の新設――を求める声などが上がった。日病薬は今月中旬まで診療報酬改定の要望を受け付けている。それを踏まえ今後、次回改定の重点要望事項を策定する計画だ。
会議では、地方の中小病院の薬剤師確保対策も議題になった。高知県病薬の宮村充彦会長(高知大学病院薬剤部長)は、県内の病院のうち薬剤師数が1~2人の病院は約半数に達する上、高齢化していると指摘。あと数年で「薬剤師がいなくなる病院が出てくる」とし、「中小病院の薬剤師確保は喫緊の課題になっている」と危機感を表明した。
島根県病薬の直良浩司会長(島根大学病院薬剤部長)も「状況は同じ。薬剤師が数人しかいない病院では1人欠けると影響が大きい。小さい病院には新卒薬剤師は行きたがらない。会員のうち薬剤師の数が足りていると回答した病院は1割くらいしかない」と報告。「薬局が在宅医療を進める上で、病院での臨床経験のある薬剤師を確保する必要性が高まっている。病院での業務に疲弊した中堅薬剤師や薬剤部長クラスが薬局に移ってしまう事例が出てきている」と話した。