第3相試験で全生存期間を有意に延長
独・バイエル社は11月7日、経口マルチキナーゼ阻害剤レゴラフェニブについて、切除不能な肝細胞がん(HCC)に対する二次治療へ適応拡大するための承認申請を、米国、日本、欧州で行ったと発表した。同剤は製品名「スチバーガ(R)錠」として、転移性大腸がん(CRC)と転移性消化管間質腫瘍(GIST)の適応で多くの国ですでに承認されている。
同社は、HCCの全身療法に対する最初の承認薬であるソラフェニブ(製品名:ネクサバール(R)錠)を約10年前に発売。以後、肝がん患者に向けた新規治療薬の開発を進めてきたという。なお、切除不能な肝細胞がんに対する二次治療には、現時点で既承認の治療法が存在しない。
切除不能な肝細胞がんに対する二次治療の新たな選択肢に
今回の承認申請は、国際共同、多施設、プラセボ対照第3相臨床試験 RESORCEから得られたデータを根拠資料としている。同試験では、ソラフェニブによる治療後に病勢進行が認められた切除不能なHCCを対象とし、レゴラフェニブの有効性と安全性を検討した。
その結果、全生存期間の中央値は、レゴラフェニブとベスト・サポーティブ・ケア(BSC)を併用した群(レゴラフェニブ群)で10.6か月、プラセボとBSCの併用群(プラセボ群)では7.8か月と、プラセボ群と比較してレゴラフェニブ群で全生存期間が有意に延長、死亡リスクは37%低下した(ハザード比0.63、95%信頼区間0.50~0.79、p<0.001)。安全性および忍容性はレゴラフェニブの既知プロファイルとおおむね一致し、健康関連QOLの評価では、レゴラフェニブ群とプラセボ群との間に臨床的に意味のある差は認められなかったという。
レゴラフェニブは、HCCの二次治療で全生存期間の延長が認められた初の治療薬。ソラフェニブによる治療後に病勢が進行した患者に対する新たな標準治療になる可能性があるという。同社は、肝がん患者に切望されていた二次治療の選択肢を、近い将来、提供できる可能性が高まったと述べている。
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・バイエル薬品株式会社 ニュースリリース