山本氏は、医薬品の適正使用や、残薬解消などを「われわれの役割」とし、「そのためには、自分たちが持っている役割や能力、権限を主張するつもり」と、まず強調した。
また、地域包括ケアシステムの構築に向けて、「チーム医療を進める中で、どう地域の医療提供体制を構築していくかが大事で、医療職種が十分な連携体制を構築するというのが大きな課題になる」とした。
そのためには、「権利とか義務の取り合いではなく、相互に専門性を尊重し合い、どこまでお互いの仕事をシェアできるかということが原則になる」と指摘。
あくまで、チーム医療の最大の目的は、「患者にとってより良い医療提供体制を組んでいくということ」とし、チーム医療の中で、「薬剤師としての役割を果たせるよう、最大限の努力をする」と語った。
一方、日本医師会が2018年度診療報酬改定に向けて、早くも「さらなる調剤報酬の適正化」に切り込む考えを示していることを念頭に、「16年度改定から半年」程度しか経っていない状況で、「調剤報酬の引き下げありきの議論は、日薬としても、薬剤師としても納得できない」と述べた。
山本氏は、「何が何でも薬剤師・薬局が正しいことをしているとは言わない」とする一方で、「何が何でもあいつらが悪いというのは偏った話」と指摘。「悪い部分を指摘されるのは仕方ないが、いいことをしても誰も指摘してくれない」ことを疑問視。
調剤報酬について「とにかく、引き下げるんだということを前提とした議論は成り立たない。強く反発していくことになるだろう」とけん制した。
10月から都道府県への届け出がスタートした健康サポート薬局については、「進まないことを是としているわけではない」ことを強調した。
山本氏は、健康サポート薬局を長期的な視点で捉えた場合、「できてみたものの、こんなものかと社会から言われないように、しっかりと地に足を着けた形で進めていくということも考えるべき」と主張。
10月のスタート時点で、「何軒の薬局が登録したかというのが議論になっているが、少し長い目で、数ではなく、中身をしっかりと見てもらいたい」と理解を求めた。
ただ、多くの薬局が健康サポート薬局となり得る「ポテンシャルを持っている」ことから、日薬として、会員の薬局がより取り組みやすくなるような「環境を整える」ことが重要になるとの認識を示した。
■被害救済制度を周知へ
また日薬は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が「医薬品副作用被害救済制度」の認知度向上を目指したキャンペーンを展開していることを受け、都道府県薬剤師会長に対して同制度の広報、周知を要請した。
同制度は、医薬品の副作用等によって入院が必要な程度の疾病や障害等の健康被害を受けた人の救済を図るため、医療費、医療手当、障害年金などの給付を行う公的制度。
PMDAでは、毎年10月17日から23日の「薬と健康の週間」をはじめ、12月までの3カ月間を救済制度の認知度向上を目的とした「集中広報期間」として、全国の新聞への広告掲載、テレビCMなどのキャンペーンを展開しているほか、医療関係者向けパンフレットの無料提供、講演などを行っている。