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DHAやEPAによる脂質代謝改善効果は朝が効果的-産総研

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2016年11月07日 PM12:45

魚油による脂質代謝改善効果は摂取時刻によって異なる

産業技術総合研究所は11月1日、魚油の摂取による脂質代謝改善効果が摂取時刻によって異なることを、マウスを使った実験により明らかにしたと発表した。この研究は、同バイオメディカル研究部門生物時計研究グループの大石勝隆研究グループ長と、マルハニチロ株式会社との共同研究によるもの。研究成果は、11月12〜13日に名古屋大学で開催される第23回日本時間生物学会で発表される。


画像はリリースより

睡眠や深部体温、血圧、糖代謝や脂質代謝など、ほとんどの生理機能には日内リズムがあり、体内時計によって制御されている。近年、疾患の発症や症状、薬物代謝などの日内リズムに着目した投薬時刻の工夫が行われている。最近では、食品成分のさまざまな機能性についても、摂取時刻との関連性が指摘されるようになり、疾患の予防や改善を目指した至適摂取時刻に関する時間栄養学的な研究が注目されている。産総研では2013年よりマルハニチロと共同で、魚油に含まれるDHAやEPAの摂取時刻と機能性の関連性について研究を行っていた。

朝食時の魚油摂取が血中のDHAやEPA濃度を高める

DHAやEPAには、心血管障害の抑制効果や抗アレルギー効果、脳機能向上効果、脂質代謝改善効果などの多様な機能性が報告されており、サプリメントや医薬品の有効成分として使用されている。今回研究グループは、マウスを明期12時間・暗期12時間の明暗環境下にて飼育し、脂質代謝の改善効果が期待される魚油について、摂取時刻による機能性の違いを評価。マウスを、魚油を含まない果糖過剰食を与えたコントロール群と、夜行性のマウスにとって朝食となる活動開始時間帯を中心に12時間だけ4%の魚油を含む果糖過剰食を与え、残りの12時間は魚油を含まない果糖過剰食を与えた朝摂取群、夕食となる活動終了時間帯を中心に12時間だけ4%の魚油を含む果糖過剰食を与え、残りの12時間は魚油を含まない果糖過剰食を与えた夕摂取群の3群に分け、いずれの群のマウスも自由摂食として2週間の飼育を行った。その後、血液と肝臓を採取し、脂質の蓄積を調べた。

その結果、1日あたりの魚油の摂取量は朝摂取群と夕摂取群との間に有意な差は認められなかったが、血液中と肝臓中の中性脂肪の量は、コントロール群に比べて朝摂取群だけに有意な低減効果があった。また、魚油の摂取による中性脂肪低減効果は、魚油に含まれるDHAやEPAによると考えられているため、これらの脂肪酸の血液中の濃度を測定した結果、夕摂取群でもこれらの脂肪酸の増加が確認されたが、朝摂取群の血中濃度は夕摂取群よりも有意に増加していたという。これらの結果は、朝の魚油の摂取は、DHAやEPAの血中濃度を高め、脂質代謝を改善することを示している。

研究グループは今後、魚油に含まれるDHAやEPAなどの機能性成分の吸収や中性脂肪の低減効果が時刻依存性をしめす分子メカニズムを明らかにするとともに、ヒトについても魚油の至適摂取時刻に関する実証を進める予定としている。

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