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無自覚な睡眠不足の解消が内分泌機能の改善につながる-NCNP

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2016年10月28日 PM12:15

自覚していない睡眠不足が平均約1時間存在

)は10月26日、現代人の多くが自覚できない睡眠不足(潜在的睡眠負債)を抱えている危険性を明らかにし、この潜在的睡眠不足を解消することにより、眠気のみならず、糖代謝、細胞代謝、ストレス応答などに関わる内分泌機能の改善が認められたと発表した。この研究は、同センター精神保健研究所精神生理研究部の北村真吾室長、三島和夫部長らのグループによるもの。研究成果は「Scientific Reports」に10月24日付で掲載されている。


画像はリリースより

日本人は世界的に見ても睡眠時間が短いことで知られ、NHKの生活時間調査によれば日本人の睡眠時間は過去40年間にわたり一貫して減少を続けている。その結果、経済協力開発機構(OECD)の調査でも日本は加盟国中で最も睡眠時間が短い国のひとつとなっている。糖尿病やうつ病など種々の健康リスクと睡眠時間との関係を調べた疫学研究の結果では、日本人の睡眠時間は4時間以下から10時間以上まで幅広く、7~8時間を底としたU字型の関係(長くても短くてもリスクが高まる)が報告されている。

潜在的睡眠不足の解消により細胞代謝などの内分泌機能が改善

研究には、健康な成人男性15名(平均年齢23.4歳)が参加。実験室内で9日間にわたり就床時間を12時間に延長して睡眠を充足(飽和)させる試験を行った。試験期間中の睡眠時間の変動曲線から各被験者の必要睡眠時間を試算。試験に先立って2週間にわたり自宅で測定した習慣的睡眠時間との差を、自覚していない睡眠不足(潜在的睡眠不足)として算出した。

その結果、各被験者の必要睡眠時間は平均8.41時間(8時間25分)と試算された一方、自宅での習慣的睡眠時間は平均7.37時間(7時間22分)で1日当たり平均1時間短いことが明らかになった。さらに、睡眠延長後には眠気の解消だけではなく、空腹時血糖値の低下、基礎インスリン分泌能の増大、甲状腺刺激ホルモンや遊離サイロキシン濃度の上昇、副腎皮質刺激ホルモンやコルチゾール濃度の低下など、糖代謝、細胞代謝、ストレス応答などに関わる内分泌機能が有意に改善したという。

睡眠不足の有無については、眠気をバロメータにして判断しがちだが、同研究から、自覚症状のない睡眠不足でもヒトの心身に無視し得ない負担を生じている危険性が明らかとなった。自分では存在を自覚できていないこのような睡眠不足を、研究グループは「潜在的睡眠不足(potential sleep debt)」と命名。臨床上および公衆衛生学上留意すべき危険な睡眠習慣として注意を喚起したいとしている。

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