早期から維持期にかけて安定した抗血小板作用がある経口抗血小板剤
第一三共株式会社は10月21日、虚血性脳血管障害患者を対象とした抗血小板剤プラスグレル塩酸塩の国内第3相臨床試験(PRASTRO-I試験およびPRASTRO-II試験)を完了したと発表した。
プラスグレルは、同社と宇部興産株式会社が創製した国産の経口抗血小板剤。経皮的冠動脈形成術が適用される虚血性心疾患患者に対し、早期から維持期にかけて安定した抗血小板作用と、優れた心血管イベント抑制効果を示すことが国内及び海外の臨床試験で確認されている。
国内では、2014年3月に虚血性心疾患患者に対する適応を取得し、その用法・用量は、「通常、成人には、投与開始日にプラスグレルとして20mgを1日1回経口投与し、その後、維持用量として1日1回3.75mgを経口投与する」こととされている。
海外では、同社とイーライリリー・アンド・カンパニーが共同開発した。2009年に欧米において経皮的冠動脈形成術を施行した急性冠症候群患者のアテローム血栓性イベント抑制を適応症として承認を取得して以来、世界80か国以上で承認されている。
75歳未満および50kg超患者で主要評価項目達成せず
PRASTRO-I試験は、年齢75歳未満および体重50kg超の虚血性脳血管障害患者(心原性脳塞栓症は除く)3,747例を対象に、プラスグレル3.75mg1日1回投与の有効性について、クロピドグレル75mg1日1回投与に対する非劣性を検証する試験。同試験では脳心血管系イベント(脳梗塞症、心筋梗塞症、その他の血管死)の発現の抑制について、主要評価項目を達成しなかった。なお、新たな安全性上の懸念は認められなかったとしている。
もう一方のPRASTRO-II試験は、年齢75歳以上または体重50kg以下の虚血性脳血管障害患者(心原性脳塞栓症は除く)654例を対象に、プラスグレル3.75mgまたは2.5mg1日1回投与の安全性について、クロピドグレル50mg1日1回投与を対照に評価する試験。同試験では、主要評価項目(臨床上重要な出血性イベントの発現頻度)および副次評価項目(脳心血管系イベントの発現頻度)について評価し、所期の目的を達成した。
なお、両試験結果の詳細については、今後、学会等などで公表する予定としている。
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・第一三共株式会社 ニュースリリース