治療目標「完全な消失」 患者の半数が願うも、医師は1割のみ
10月29日の世界乾癬デーを前に、日本イーライリリー株式会社と鳥居薬品株式会社は共同で、中等症・重症の尋常性乾癬患者144名と治療医159名を対象に、患者を取り巻く医療環境に関する意識調査を実施。調査を通して、医師と患者の間で共通する部分、大きく異なる部分が明らかになった。
東京医科大学皮膚科教授 大久保ゆかり氏
治療目標について、「本当は達成したい治療目標」に患者の半数が「皮膚病変の完全な消失」を挙げたのに対し、同じ目標を挙げた医師は1割にとどまった。また、患者の多くは「これ以上はよくならない」と治療をあきらめており、治療目標を医師に伝えていないことが分かった。
また、治療満足度とコミュニケーションについては、医師は患者の6割が「治療に満足している」と思っているが、患者で同様の回答したのは33%にとどまった。患者、医師ともに、治療に不満を抱く理由で多かったのが「治療効果不足」だった。そして、患者の多くは治療や疾患に関連する日常の悩みについて、「相談しても治療が変わらない」と回答した。
患者の34%「乾癬は伝染しない病気」の認識なし
今回の調査対象は、医師は「尋常性乾癬患者を月に10人以上診療している皮膚科医」、患者は「定期的に医療機関に通院している罹病歴が2年以上の中等症・重症患者(一部対象外あり)」で、一般的には意欲の高い医師、患者と考えられる。
にもかかわらず、患者の34%が「尋常性乾癬は伝染しない病気である」という認識が「無い」ことや、治療目標に大きなギャップがあることに対し、「驚きを禁じ得ない」と監修した東京医科大学皮膚科教授の大久保ゆかり氏は、都内で行われたプレスセミナーで語った。「よりプライマリに近かったり、生物学的製剤承認施設が近くにない地域のコミュニケーションギャップはより大きいと考えてもおかしくはない」(大久保氏)
生物学的製剤が治療の選択肢となってから6年。社会の乾癬に対する認知向上と並んで、医師と患者のコミュニケーションギャップの解消が急務だ。