福岡市薬剤師会(瀬尾隆会長)は、9月から会員薬局店頭で、薬剤師の服薬指導が患者の服薬アドヒアランスをどれだけ向上させるかを数値化するため、九州大学大学院薬学研究院・臨床育薬学分野と臨床研究「服薬アドヒアランス向上に対する服薬状況スコアの評価」を開始した。残薬調整を行う一人の患者を追跡し、薬剤師がどういうアプローチを行えば、服薬アドヒアランスを向上させることができるかを評価する。来局した患者に対し「服薬状況確認シート」を用いて飲み忘れなどの状況を記載してもらい、その内容をもとに患者を選択。来年3月末までの間に、同じ患者に対して3度(初回、中間、最終)調査を実施し、服薬アドヒアランスの変化を追跡していく。同薬剤師会では2012年から残薬調整に向けた「節薬バッグ運動」を展開。今回、その延長線上の取り組みとして、薬剤師の薬物治療への介入効果を数値化し、薬局発のエビデンス獲得を目指す。
今回、研究対象とするのは慢性疾患で継続的に薬物療法を実施しており、口頭で研究の説明を行い参加の同意を得られている患者。薬局店頭で「服薬状況確認シート」を手渡し、その場で自宅での残薬の有無、前回処方薬の飲み忘れの有無などの設問に対して、該当項目を丸印で患者自身にチェックしてもらう。設問には、海外の服薬アドヒアランス尺度(MMAS-4)の日本語翻訳版「薬を飲み忘れたことがある」「薬を飲むことに関して無頓着である」「調子がよいと薬を飲むのをやめる」「体調が悪くなると薬をやめる」――の4項目を記載。