不要な検査がなくなるため、早期治療につながる可能性
久留米大学と東京都健康長寿医療センターは10月21日、早期にミトコンドリア病と特定できる画期的な診断バイオマーカー「GDF15」を発見・開発したと発表した。この研究は、久留米大学医学部小児科学講座と東京都健康長寿医療センターの共同研究グループによるもの。研究成果は「Nature Reviews Disease Primers」オンライン版に10月20日付で掲載されている。
画像はリリースより
ミトコンドリア病は、ヒトが生きるために必須のATP合成が十分できないことにより、種々の臓器の症状(精神・運動発達遅滞や知的退行、心不全や腎不全、難聴や糖尿病)を引き起こす疾患で、対象患者数は国内で約2,000人、世界で約50万人とされている。臨床的には、発症年齢や症状、重症度もさまざまで、決定的な検査方法がなく、患者は不要な検査を繰り返すことになる。そのため、診断されるまでに長い時間を要し、結果的に有効な治療法のタイミングも遅れ、病気が進行するという深刻な問題があった。
感度・特異度が98%、世界で最も有用な診断バイオマーカーに
今回発見されたGDF5は、病気を特定できる感度・特異度が98%とほぼ100%に近く、従来型よりも20ポイントも高い、世界で最も有用なミトコンドリア病の診断バイオマーカー。病気の重症度だけでなく、薬効評価にも有用であることが示され、ミトコンドリア病診断の世界的な標準検査法となるという。これにより、患者は診断までに不要な検査を繰り返す必要がなくなるため、早期治療に道が開かれることになる。
ミトコンドリア病と特定するための有用な診断バイオマーカーの開発は、世界のミトコンドリア病臨床研究者の悲願であった。今後、世界中でミトコンドリア病の早期診断・早期治療が行われることが期待されると、同研究グループは述べている。
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