国の承認書と異なる製造方法で長年にわたって血漿分画製剤を製造し、虚偽の申告を組織ぐるみで隠ぺいしていた化学及血清療法研究所(化血研)の事業譲渡に向けて交渉していたアステラス製薬は19日、協議の打ち切りを発表した。過去最長の業務停止命令を出した厚生労働省は、再三にわたって事業譲渡を促してきたが、交渉は振り出しに戻った格好となった。塩崎恭久厚労相は同日、「長年にわたって化血研の製品を販売し、取引があったアステラスとも合意できなかったことは、関係者の化血研への信頼が崩れ、不信感が高まっていることの表れ」と厳しく批判。「事業譲渡しなければ化血研は終わってしまう」として、国益の観点からも早期の事業譲渡を強く促した。
化血研をめぐっては、厚労省が1月に110日間の業務停止命令処分を出し、化血研が医薬品製造販売業を継続することはないとして、アステラスと事業譲渡交渉が続けられてきた。
しかし今回、アステラスが「交渉状況を総合的に判断」した結果、協議を打ち切ることを決定。事業譲渡交渉は振り出しに戻った。塩崎厚労相は、「もともと業務停止期間中の5月6日までに結論を出すよう指導し、化血研もその方針を明確に共有していた」と指摘。「アステラスとの交渉がまとまることに期待していた」としながら、「長年の取引関係のある相手とも合意できなかったのは、関係者の化血研への信頼が崩れ、不信感が高まっていることの表れ」と批判。厚労省として引き続き、事業譲渡に取り組むよう指導していく考えを強調した。
さらに、雇用の確保、熊本経済への影響に配慮することの必要性に言及。「事業譲渡をしないと化血研は終わってしまう」とし、事業譲渡こそが国民や地元への責任を果たすことになると強調した。