原因遺伝子18種類のうち未解明の1種「TMEM5」の機能を解明
東京都健康長寿医療センターは10月17日、先天性筋ジストロフィー症の原因遺伝子「TMEM5」の機能を解明し、発症に関わる糖鎖の構造を明らかにしたと発表した。この研究は、同センターの遠藤玉夫副所長、萬谷博研究副部長と、理化学研究所の山口芳樹チームリーダーらの共同研究グループによるもの。研究成果は、米国生化学会誌「The Journal of Biological Chemistry」オンライン版に10月12日付で掲載された。
画像はリリースより
先天性筋ジストロフィー症は、全身の筋力が低下する遺伝子疾患で、厚生労働省指定の難病。研究グループはこれまで、糖鎖異常を原因とする先天性筋ジストロフィー症を発見、発症メカニズムの研究を行ってきたという。糖鎖異常の原因遺伝子は18種類見つかっており、すでに17種の機能が解明されているものの、これらの遺伝子が作る糖鎖構造には未解明部分があり、残る1種の原因遺伝子TMEM5の機能とこれにより作られる糖鎖構造の完全解明が期待されていた。
筋ジストロフィー症の病態解明、治療法開発に期待
今回、研究グループは、TMEM5がこれまで解明されていなかった部分の糖鎖をつくる糖転移酵素であることを明らかにした。さらに、NMR(核磁気共鳴)法を用いてTMEM5により作られる糖鎖構造を詳細に解析、先天性筋ジストロフィー症の発症に関わる糖鎖の完全な構造を明らかにした。この糖鎖は、脳と筋肉の発達や機能において重要な働きをしていると考えられるという。
今回の研究により、これまで部分的にしかわかっていなかった糖鎖構造が完全に明らかになり、先天性筋ジストロフィー症の病態解明や治療法開発など、研究の飛躍的な進歩が期待されると、研究グループは述べている。
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