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世界初、生体外からの光照射で遺伝子の働きをコントロールできる技術を開発-東大

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2016年10月17日 PM01:30

短時間の光照射でも極めて高い効率でDNA組換え反応をコントロール

東京大学は10月13日、微弱な光や短時間の光照射でもDNA組換え反応を極めて高い効率でコントロールできる技術の開発に成功したことを発表した。この研究は、同大学大学院総合文化研究科の河野風雲特任研究員(現コロンビア大学リハビリテーション再生医療学科博士研究員)、岡崎里紗子大学院生、佐藤守俊准教授らと、コロンビア大学リハビリテーション再生医療学科・薬理学科の矢澤真幸助教授の共同研究グループによるもの。研究成果は「Nature Chemical Biology」オンライン版に10月10日付けで掲載されている。


画像はリリースより

近年、生体での遺伝子の働きを解明するための技術として、化合物や光を使ってCre–loxPシステムを人為的にコントロールする技術に興味が持たれている。特に、光でのコントロールを実現できれば、狙った生体組織や細胞を標的として、任意のタイミングでDNA組換えを誘導することができるようになり、DNA組換え技術の応用可能性を大きく広げることができると期待されている。しかし、光を利用した従来の技術はいずれもDNA組換え効率が著しく低く、そのことが生体(マウスなどの動物個体)への応用の大きな妨げになっていた。

病因や疾患などに関わるさまざまな遺伝子の機能解明への応用に期待

共同研究グループは二分割して一時的に活性を失わせたDNA組換え酵素()に光スイッチタンパク質を連結し、光照射でDNA組換え反応をコントロールできる光活性化型Cre(“”と命名)を開発することに成功した。このPA-Creを用いて、わずか30秒程度という短時間の光照射を、しかも生体外から行うだけで、マウス生体深部の臓器における遺伝子の働きを高い効率でコントロールできることを示した。さらに、PA-Creを用いて、狙った場所でのみDNA組換えを起こせることも実証したとしている。

従来の光遺伝学では、マウスなどの動物個体の生体深部に光を届けるために、細い光ファイバーを差し込んだり、小型LED装置をインプラントしたりするなど、外科的侵襲を伴う方法が用いられてきた。今回、共同研究グループは、極めて高感度のPA-Creを開発することにより、30秒程度という短時間の光照射を、しかも生体外から行うだけで、生体深部でDNA組換え反応を誘導できることを実証した。このような非侵襲的な手法は、動物の負担を大幅に減らすとともに、実験の簡便性を劇的に向上させるものとなる。

今回の研究成果は、病因や疾患に関わるさまざまな遺伝子の機能解明に役立つこと、また、DNA組換え反応を利用するさまざまな技術を革新し、遺伝子関連分野の発展に大きく貢献することが期待されると、共同研究グループは述べている。

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