科学的根拠に経済性を踏まえて、医療機関や地域ごとに策定する医薬品の使用指針「フォーミュラリー」に関係者の注目が集まっている。米国や英国などで確立され、日本でも一部の病院が取り組みを開始したフォーミュラリーの仕組みを各医療機関や地域、保険者で導入することによって、医薬品の使用を適正化し、医療費の増加を抑制できるのではないかとの期待が背景にある。9、10日に愛知県で開かれた日本薬剤師会学術大会の分科会「病院と薬局の連携と薬剤師」ではフォーミュラリーの特徴が示され、導入の拡大に向けて意見が交わされた。
フォーミュラリーが国家施策の観点からも注目を集めるようになったのは、安倍内閣が示した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)がきっかけだ。今年6月の骨太の方針2016には「生活習慣病治療薬等の処方のあり方等について今年度より検討を開始し、2017年度中に結論を得る」との文言が盛り込まれた。財務省の財政制度等審議会財政制度分科会でも、高額な降圧薬ARBが国内医薬品売上の上位を占めることを例に「生活習慣病治療薬等について処方ルールを設定すべき」との案が示されている。